英軍「インド太平洋に哨戒艦を恒久配置」の本気度 将来派遣の沿岸即応部隊との違いは? 課題も

来日したイギリスのウォレス国防相が、インド太平洋地域に自国海軍の哨戒艦2隻を常駐展開させるとともに、将来的には「LRG」と呼ばれる沿岸即応部隊も派遣することを明言しました。しかしLRGには課題もあるようです。

LRGの2方面展開がかなり難しいワケ

 前述のLRG(North)の前、2020年後半には「LRG(Experimentation)」と名付けられた艦隊が試験的に編成され、地中海を航行しています。このときはドック型揚陸艦「アルビオン」、補助揚陸艦「ライムベイ」、ミサイル駆逐艦「ドラゴン」で編成されていました。

 長期間にわたる遠洋での作戦行動能力や、ヘリコプターの運用能力、各種舟艇の積載能力、一定程度の海兵隊兵士の収容能力(上記の試験時は約250名)などを考慮すると、哨戒艦2隻のみということはなさそうです。

 ただし、そうなると、ヨーロッパ周辺海域とインド太平洋地域の2方面にLRGを同時期に同一規模で展開させる場合、現在のイギリス海軍では両用戦能力が不足する懸念があります。

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ヘリコプター空母「オーシャン」(奥)と並走するアルビオン級揚陸艦の2番艦「ブルワーク」。「オーシャン」はすでに退役しており、イギリス海軍にはヘリコプター格納庫を備えた揚陸艦は2021年7月現在、存在しない(画像:イギリス海軍)。

 2021年7月現在、イギリス海軍が保有する外洋を長期航行可能な揚陸艦はアルビオン級2隻、ベイ級3隻の計5隻しかありません。

 しかもこれら揚陸艦5隻ともすべてヘリコプター格納庫がない発着甲板のみの艦であるため、空母とはいわないまでも駆逐艦やフリゲートなどが同行しない限り、その運用能力は著しく制限されます。

 イギリス国防省は、ベイ級揚陸艦3隻のうち最低1隻に対して格納庫を増設しようと5000万ポンド(日本円で約75.5億円)を拠出する計画を立てているものの、それでは抜本的な解決にはなりません。

 もしイギリス海軍が本気で2方面におけるLRGの恒久展開を計画するのならば、航空機の運用能力に長けた揚陸艦を3隻以上建造する必要があるといえるでしょう。

【了】

【艦内どうなってる?】イギリス海軍「アルビオン」のディテール

Writer:

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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