白ナンバートラックの飲酒対策はなぜザルなのか 八街事故 課題多い政府緊急対策

有償で運送しなければ、アルコールチェックをする義務がない

 こうした取り組みの企業がある一方で、八街市の飲酒死傷事故がおきました。運転者は運送会社の勤務ですが、前述とは何が違うのでしょうか。

 事故を起こした運送会社のトラックは、親会社が製造施工する建築資材を専門に運ぶ「白ナンバー」でした。緑と白の差は、有償で運ぶか否かの違いでしかなく、物か人かなど運ぶ内容による違いはありません。

 ただ担当する行政の違いで、管理者の名前も役割も、似て非なるものです。白ナンバーでは「安全運転管理者」、緑ナンバーでは「運行管理者」と呼ばれます。前者は警察庁と都道府県警察、後者は国土交通省と地方支局が担当します。

 交通に詳しい弁護士の高山俊吉氏は、その課題を次のように指摘します。

「貨物や旅客の業法で管理されている緑ナンバーと違って、白ナンバーを管理する道路交通法では、安全運転管理者に対してアルコールチェックによる飲酒管理が必要である、とまではされてないのです。あるとすれば、赤い顔をして飲酒の懸念がある運転者に指示をするとか、飲酒が運転に与える影響を日常的に教育するとか。つまり、安全運転管理者を置くことに、どれだけ実効性があるかわからない。緊急対策では、(白ナンバーのアルコールチェック)義務付けが明確にされるとばかり思っていました」

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アルコールチェックを義務化することを期待する高山俊吉弁護士(中島みなみ撮影)。

 閣僚会議の事前報道では、関係者の話として、警察庁が白ナンバートラックへのアルコールチェックを義務付ける方針を固めたと報道されていました。しかし閣僚会議で打ち出された対策は、次の通り。

「乗車前後におけるアルコール検知器を活用した交通安全教育の推進等、安全運転管理者が行う安全運転管理業務の徹底や対策の拡充を図り、飲酒運転の根絶に向けた取り組みを推進する」

 緊急と言いつつ、内容は抽象的と言わざるを得ません。

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コメント

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3件のコメント

  1. 飲酒運転を取り締まり強化してもダメ、管理者を置いて指導してもダメなら酒自体を無くせばいいだけのこと!飲酒運転したくても酒が無いから飲酒運転は起こらないしコロナウイルス蔓延防止に繋がるので一石二鳥です!禁酒法が有力だと思います!

  2. 安全運転管理者制度、医療・介護の現場の人、誰も知らなかったですねぇ。

    実際、自分が就職するまでの十年間車は30台有るのに管理者無し、まずはそこからかなぁ。

  3. すべての自動車に対して、酒気を帯びている者には始動できないようにする装置の取り付けを義務化する。 

    それを無効化して車検の前だけ元に戻す悪徳整備屋が出現することは想像に難くないが。