白ナンバートラックの飲酒対策はなぜザルなのか 八街事故 課題多い政府緊急対策

白ナンバー、数が多過ぎて把握できない

 安全運転管理者の役割を議論する前に、この制度は、根本的な問題も抱えています。警察庁交通局は、閣僚会議でこのような報告をしています。

「安全運転管理者を置かなければならない事業所の全国把握は難しい」

 白ナンバーは、公道を走るための車両登録をすれば誰にでも交付されます。その後に通常は5台以上(乗車定員が11人以上の自動車では1台)を業務として使う車検証上の使用者(=企業)に対して、安全運転管理者を置く義務が生じます。仕組みとして、安全運転管理者の選任は後回しでもよいわけです。これに対して緑ナンバーでは、運輸局への有償運送事業の届出をする必要条件として運行管理者を選任しなければ、ナンバーの取得ができません。

 関係者は、この仕組みの課題をこう指摘します。

「都道府県警察にとって届出を怠っている事業者をあとで把握することは難しい。さらに安全運転管理者を置かなければならない事業所の数が多過ぎるほか、効果的な指導のためのマンパワーも不足している」

 そのため閣僚会議では、飲酒運転の根絶を図るための緊急対策の第一をこう記しました。

「自動車を一定数以上保有する使用者に義務付けられている安全運転管理者等の未選任事業所の一掃を図る」

 未選任事業所をどう把握するか。白ナンバー事業者に対する飲酒対策は始まったばかりです。

【了】

【「夜」じゃない】飲酒事故が増えている時間帯

Writer: 中島みなみ(記者)

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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コメント

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3件のコメント

  1. 飲酒運転を取り締まり強化してもダメ、管理者を置いて指導してもダメなら酒自体を無くせばいいだけのこと!飲酒運転したくても酒が無いから飲酒運転は起こらないしコロナウイルス蔓延防止に繋がるので一石二鳥です!禁酒法が有力だと思います!

  2. 安全運転管理者制度、医療・介護の現場の人、誰も知らなかったですねぇ。

    実際、自分が就職するまでの十年間車は30台有るのに管理者無し、まずはそこからかなぁ。

  3. すべての自動車に対して、酒気を帯びている者には始動できないようにする装置の取り付けを義務化する。 

    それを無効化して車検の前だけ元に戻す悪徳整備屋が出現することは想像に難くないが。