白ナンバー業務車の飲酒チェック義務化へ トラック以外も 車を使う事業所に大きな影響
無数に存在する「クルマを使う事業所」 企業責任どう追求?
緑ナンバーの事業所と同様に、安全運転管理者を選任した白ナンバー事業所でも、使用者責任が厳しく追及されるように変わります。
「業務中の飲酒運転を検挙した場合には、背後関係、背後責任について徹底した捜査を行い、安全運転管理業務の実施状況の確認、使用者に対する指導を行うなど義務の徹底を図っていきたい」(棚橋国家公安委員長)
安全運転管理者の選任は、事業者の業態に関わらず、乗用車やトラックでは5台以上、定員11人以上のバスなどは1台の保有で義務化されています。その対象は民間会社だけに留まらず、緑ナンバーを監督する国土交通省などの行政や、安全運転管理者を監督する警察本部や警察署も含まれます。その広範な事業所の把握についても今回、2つの具体策が示されました。棚橋氏は話します。
「警察においては、自動車保管場所証明業務との連携による把握に努めつつ、安全運転管理者の選任状況を都道府県警のウェブサイト上で公開し選任を促進するなど、確実な選任に向けた環境整備を進めていきたい」
自動車の所有者は一部の地域を除いて警察署に保管場所を提出する必要があります。この書庫証明のデータを使って事業所を把握しようという試みです。菅 義偉首相が出席した関係閣僚会議(8月4日)では、使用者に義務付けられた選任が実施されていない事業所の一掃を図ることが緊急対策に盛り込まれましたが、無数に存在すると見られる選任義務のある事業所を把握することは簡単ではありませんでした。
「何よりもこうした対策を実現することで、今般の事故のような飲酒運転の悲惨な事故の根絶に向けていっそう強力な取り組みを進めていく」(同前)
警察庁は必要な省令改正を急ぎ、できるだけ早い実施を目指しています。
【了】
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
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