日の丸ロケットの火がパラリンピック聖火になぜ!? 誕生の経緯や採火方法をJAXAに直撃

東京2020パラリンピックの聖火は、パラリンピック発祥の地であるイギリスのストーク・マンデビルの火に、全国各地約900か所で採られた火が合わさってできています。そのひとつには「宇宙開発の火」というのも。実際に採火したJAXAに話を聞きました。

採火の経緯と方法

 当初、JAXAは東京オリンピック・パラリンピックの開催と同じ2020年度にH3ロケットの打ち上げを予定しており、角田宇宙センターでもその打ち上げに向け、ロケットエンジンのターボポンプ試験が実施されている状況でした。両者の成功を祈念し、世界を盛り上げるという思いの下、H3ロケットのエンジン試験設備から採火するという構想であったといいます。

 その後、新型コロナウイルス感染症の影響によりオリンピック・パラリンピックはともに延期になりましたが、H3ロケットも計画が見直されたため、ともに2021年度に持ち越されました。

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JAXA角田宇宙センターでの採火の様子。右側のマス目状の部分がバーンポンドで、炎が出ているのがパイロットバーナー。(写真:角田市)。

 実際に採火を行ったのは、ロケットエンジン試験設備の一つ「液酸/液水エンジン供給系試験設備」(通称FETS)内にあるバーンポンドのパイロットバーナーです。一般的には耳慣れない単語が並びますが、どのようなものなのかというと、ここはロケットエンジンの心臓部であり、燃料と酸化剤を送り込む役割を担うターボポンプを試験するものです。

この試験設備では、現在開発中のH3ロケットのメインエンジンである「LE-9」をはじめ、これまで種子島宇宙センターから打ち上げられた全てのロケットエンジンのターボポンプ試験を実施しています。

 試験には水素ガスを大量に使う(最大で750l/s)ため、安全に配慮する必要があります。そのため「バーンポンド」という人工の池に水素を導いて、点火器であるパイロットバーナーで点火し、燃焼処理します。パイロットバーナーの燃料はプロパンガスを用いています。

 実際の試験時は最高で50mにも達する火柱が上がるため、安全管理上、人が近寄って採火することはできません。そのため、パラリンピックの種火の採火では、特別にパイロットバーナーだけに着火し、長い棒の先に布を巻いた器具で火を採ったそうです。

【写真】世界でも稀なロケット由来の聖火が生まれる様子

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