旅客機に「最低速度」はあるのか セスナは60km/h…プロペラ機やジェット機は?

900km/h以上で巡航するジェット旅客機、これより少し低速ながらも600km/h以上で巡航することもあるターボプロップ旅客機――これらは最低どれくらいのスピードであれば、安全に飛行を続けることが可能なのでしょうか…。

ジェット機の最低速度はいわゆる「V2」?

 一般的なジェット旅客機は800~900km/hの「亜音速」と呼ばれる速度帯で、プロペラ駆動のターボ・プロップ機はもう少し低い450~650km/hの速度帯で巡航します。では逆に、これらの機体はどれくらい低い速度帯で運航が可能なのでしょうか。

 そもそも飛行機の飛行にとって重要な「速度」は、静止している空気を基準にして表示する「対気速度」であり、地上の交通機関で一般的な、地面を基準に測る「対地速度」とは異なります。これは空中を飛ぶという性質上、主翼が発生する力は対気速度を基準とするためです。

 そのため、たとえばジェット旅客機が「対気速度」の900km/hで飛んでいたとしても、上空を強い追い風が吹くなかを飛行する場合などは、地上から見た「対地速度」で見ると、1000km/hを軽く超えていた、などということも珍しくありません。

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成田空港をV2以上で飛び上がるユナイテッド航空機(乗りものニュース編集部撮影)。

 さて一方で、飛行機が安全に運航を継続できる最も小さい速度はどれくらいなのしょうか。

 旅客機の離陸時には、パイロットが「V1」、「ローテイション」、「V2」という速度を表す言葉をコールしながら、地上を離れるのを聞いたことがあるかもしれません。「V1」は「これ以上速度があがれば離陸を中断できない」離陸決定速度、「ローテイション(VR)」は機首を引き起こす速度、そして「V2」は「飛行機が安全に離陸を続けられる」安全離陸速度とされます。これらの速度は各フライトで、風向きや気温といった離陸空港の状態、シップ(当該機)の搭載燃料、搭載貨物や乗客数、元々の機体の重さ、設定するフラップ(高揚力装置)の角度などから、フライトごとに算定されるものです。

 ジェット旅客機が最も重い状態でも、安全に空中で飛行を継続できる速度は、実質的に安全離陸速度「V2」と考えてよいでしょう。一般的に、V2より低い「失速速度」というものありますが、そもそも、この失速という和訳のベースとなった「STALL」という概念は、機体総重量に対して、主翼などによる空気による力やエンジンから発生する力のうち、重力方向の力が、重力よりも小さくなっている状態を表します。つまりこのスピードを下回ると高度を維持できないのです。加えこのSTALL速度は機体の設計時に定められた値で、様々な条件で変わる実際の運航に準拠したものではありません。このフライトごとに変わる条件に対応して設定した速度がV2となりますので、この機体がフライトごとにSTALLしない実用的な最低速度が、V2と言い換えることができるでしょう。

 V2で浮かび上がったシップは、エンジンを離陸パワーにセットして上昇していきます。V2の速度は先述のとおり、そのときにシップの状況によって変化がしますが、おおむね 300km/hくらいといえるでしょう。

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