旅客機に「最低速度」はあるのか セスナは60km/h…プロペラ機やジェット機は?

900km/h以上で巡航するジェット旅客機、これより少し低速ながらも600km/h以上で巡航することもあるターボプロップ旅客機――これらは最低どれくらいのスピードであれば、安全に飛行を続けることが可能なのでしょうか…。

ターボプロップ機の「V2」速度は? 最低速度、フライト通して一定とは限らない!

 ターボプロップ機の場合、ジェット旅客機よりV2のスピードは小さいといえるでしょう。一般的にターボプロップ旅客機のV2スピードは、220km/h(120ノット)から270km/h(150ノット)の範囲となっています。

 たとえば国内でもJAC(日本エアコミューター)が導入しているATR72-600型機などは、最大離陸重量に達している状態でも、約230km/h(125ノット)で、V2の前段となる機首引き起こし速度「ローテイション」速度に達することができる点をセールスポイントとしています。ローテイション速度が低ければ、V2のスピードもより低速になる効果が期待できます。またこれらの速度が遅いということは、滑走路が短くとも離陸できることにつながりますので、メーカーによっては、これを売りとしているところもあるようです。

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JACのATR72-600型機(乗りものニュース編集部撮影)。

 なお、空気の状態は高度によって変わります。地表に近ければ近いほど、空気の密度は濃くなります。これにともなって、飛行機の最低対地速度も高度によって変化します。つまり地上から見ると、高度が低いほど、より低速で飛ぶことができるのです。

 ちなみにセスナ機などの軽飛行機の場合、一人乗務の単発エンジン機であれば、V2速度の概念はありません。これはV2が「双発機で、エンジン1基が壊れてしまっても、安全に上昇を続けられる」という概念であるためです。もちろんさまざまな外部要因によって変化しますが、地上付近の最低速度はおおよそ60km/h程度と、自動車なみのスピードで航行できるときもあります。

 また当然のことながら、ヘリコプター、VTOL(垂直離着陸)機などは最低速度が0km/hとなります。ただ回転翼航空機でもオートジャイロなどは前進していないとローターが回転しないため、一定の前進速度が不可欠です。

 ここまで、旅客機が安全に飛行を続けられる最も低い速度は、多くのケースでV2に相当する……という仮定を軸に話を進めてきましたが、この速度は着陸まで一定かというと、そうとも言い切れません。

 ジェット旅客機が着陸の際には、V2よりはるかに低い200km/h台で最終進入することが一般的です。これは、滑走路内で停止するため、出来るだけ遅い速度で接地する必要があるためです。その理由としては、それまでの飛行で燃料を消費しており、重量が相当軽くなっていること。もちろん、この速度は、滑走路に接地してから安全に停止ができる一方で、何らかの理由で着陸できない場合に速度を上げれば再び上昇できるといった、絶妙な速度設定といえます。

 涼しい顔をしているようにも見える空中の飛行機。実は目には見えませんが、とてもがんばって浮いているのです。

【了】

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