聞いたことある! 100年前来日のイギリス戦艦と今はなき有名アパレル企業との意外な関係

時代の荒波に沈んだ日本企業レナウン

 なお、イギリス海軍は第2次世界大戦時、「フッド」「レパルス」「レナウン」という3隻の巡洋戦艦を海戦に投入しましたが、そのなかで生き残ったのは「レナウン」1隻だけです。「フッド」はドイツ戦艦「ビスマルク」との砲戦で1941(昭和16)年5月に轟沈。「レパルス」も同年12月のマレー沖海戦で旧日本海軍の陸上攻撃機部隊の攻撃を受けて戦没しています。

 このように、イギリス巡洋戦艦「レナウン」は第2次世界大戦を生き延びた幸運艦だったのですが、日本企業レナウンは幸運に恵まれたわけではありませんでした。

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1920年代に撮影されたイギリス海軍の艦隊。先頭は巡洋戦艦「レパルス」、2番目が「レナウン」(帝国戦争博物館/IWM)。

 1990年代にアパレルメーカーとして世界最大の売り上げを誇ったほど隆盛を極めた同社でしたが、バブル崩壊後はファストファッションの台頭などによって業績は悪化の一途をたどります。

 2010(平成22)年には中国企業の子会社となり、経営再建を図ろうとしたものの上手くいかず、最終的には2020年5月15日に民事再生法の適用を申請するまでに至りました。

 しかし民事再生の場合、再建の後ろ盾となるスポンサー企業の存在が不可欠です。そのような“後見人”といえる企業が姿を現すことがなかったことなどにより、レナウンは同年10月30日に東京地方裁判所より再生手続き廃止の決定を受けます。結果、11月27日に破産手続きの開始が決定され、2021年3月19日に法人としての清算手続きが終了しました。

 巨大アパレル企業レナウンの消滅は、時流といってしまえばそれまでです。しかし、ダーバンのお気に入りジャケットを何着か愛用している筆者(白石 光/戦史研究家)としては、一抹の寂しさを覚えずにはいられません。

【了】

【写真】就役直後と退役直前の「レナウン」を見比べ

Writer: 白石 光(戦史研究家)

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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