東急×首都高 道路の3D点検技術を東急線で導入 大手私鉄初 検査費3割減めざす

計測車両はエスティマじゃなく鉄道用に。

伊豆急に続き東急線で導入「鉄道版インフラドクター」

 東急は2021年9月7日(火)、道路の維持管理システム「インフラドクター」を鉄道の維持管理に応用した「鉄道版インフラドクター」を、2021年度に東急線で実施する建築限界検査およびトンネル特別全般検査より導入すると発表しました。
 
 鉄道版インフラドクターの実用化は、大手民鉄初だといい、同日から実際の計測が始まります。

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鉄道版インフラドクターの計測車両(画像:東急)。

 これは東急と首都高速道路、首都高技術が鉄道施設の保守点検・管理作業の精度向上と効率化を目的に共同開発を進めてきた技術で、これまで東急線における実証実験のほか、伊豆急行線で導入されています。

 かんたんにいうと、3次元の情報を持つ無数の点(3次元点群データ)で仮想空間上に線路施設を立体的に再現するもので、そのデータをレーザースキャナ搭載の車両で「走りながら」取得します。さらに画像解析により、トンネル各部位の浮きや剥離などの要注意箇所を効率的に抽出し、人の手で行う打音調査などが必要な箇所の絞り込みも可能にするなど、検査の効率化を図ります。

 今回はこれによる計測を、東急線全線(世田谷線、こどもの国線除く)における建築限界検査、トンネルの特別全般検査に用います。従来、これら検査は主に終電後の夜間時間帯、技術者による目視や計測などにより実施しており、中には足場を組んでの高所作業もありました。多くの人手が必要となり、検査精度のバラつきや技術継承、技術者不足、検査費用の増加などが課題となっていたそうです。

 このデジタル化を通じ、東急は検査精度の向上や技術継承支援につなげる構えで、検査費用の最大3割減を目指すとのこと。またデータを活用して施設管理のさらなる高度化・拡張を図るとしています。

【了】

【画像】「無数の3次元の点」で表された東急線の駅

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