引退迫る2階建て新幹線E4系 目に焼き付けたい「高い車窓」徹底ガイド

オール2階建て新幹線E4系「Max」の定期運行がもうすぐ終わります。日本の新幹線から2階建て車両が姿を消す前に、最後の運用路線である上越新幹線で2階席からの眺めを「とことん」味わいます。

2階席から眺めたい上越新幹線の車窓

 オール2階建て新幹線であるE4系「Max」の、上越新幹線での定期運行終了が近付いています。

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自由席の3/11号車(栗原 景撮影)。

 現在、E4系が最後の活躍を続けている上越新幹線は、上越国境越えがある高崎~長岡間のほとんどがトンネルで、開業当時には「地下鉄新幹線」などと揶揄されたりもしました。しかし、実際には広大な関東平野と秩父・妙義山系を見晴らせる大宮~高崎間や、米どころ・新潟を実感できる田園風景が見事な長岡~新潟間など、車窓風景も十分に楽しめる路線です。

 車窓は座席を向かい合わせにできない今は基本的に1人で眺めるもので、会話もほとんど発生しません。密にならず、感染予防対策を徹底したうえで味わえるE4系最後の車窓風景を紹介します。なお、新潟に向かって左側の席は、便宜上「E席側」と表現します。

(1)日暮里付近:東京の下町と山手を隔てる崖線と車両基地を「上空」から
A席(車両センター)/E席(日暮里崖線)

 東京~大宮間は厳密には東北新幹線の区間ですが、日暮里で地上に出てから赤羽トンネルに入るまでは、東京の地形を観察できる区間です。E席側に、山手線や京浜東北線が並走しますが、その向こうは高低差15mほどもある崖が続いています。

 これは日暮里崖線と呼ばれる崖で、東京西部に広がる武蔵野台地の東端にあたる地形。崖の上は、上野公園や谷中墓地がある上野台地です。はるか昔はここが海岸線で、海水が長い年月をかけて台地を削り、この地形を作り上げました。田端付近に一部、鉄道建設時に削られた場所はありますが、これほどはっきりした自然の崖線を、上から見晴らせるスポットはなかなかありません。

 一方、A席側にはJR東日本の新幹線がずらりと並ぶ東京新幹線車両センターと、その向こうに在来線の尾久車両センターが見えます。新幹線車両センターは、上り列車がおすすめ。豪華クルーズトレインの「TRAIN SUITE 四季島」が見えることもあります。

(2)東武鉄道5700系電車:カフェレストランとして第二の人生を送る戦後初の東武特急
A席

 下り列車で、熊谷駅のしばらく手前でA席側の高架近くに、古い電車が見えます。これは行田市にあるカフェレストランで、1950年代に製造された東武鉄道の特急用5700系電車が店舗として使われています。

 5700系は、戦後日光への観光客輸送で国鉄との競争が激しくなった東武鉄道が投入した、東武として戦後初の特急専用車両。一部の編成は当時流行の「湘南顔」デザインが与えられて「猫ひげ」と親しまれ、今は東向島の東武博物館(東京都墨田区)に保存展示されています。新幹線から見える車両は一般的な貫通扉のある車両で、屋外ながら丁寧に整備されているのが車窓からも分かります。

(3)太平洋セメント熊谷工場:健在! 貨物列車による石灰石輸送
A席

 熊谷駅から数キロ高崎寄り、A席側に見えてくる巨大な工場は太平洋セメント熊谷工場です。手前には、草むした線路がたくさん並んでいますが、これは秩父鉄道の貨物線。秩父鉄道は、今でも貨物列車による石灰石輸送を毎日行っている貴重な私鉄で、秩父鉄道影森駅に近い三輪鉱山や、群馬県の叶山鉱山からベルトコンベアで武州原谷駅まで運ばれた石灰石が、毎日貨物列車で熊谷工場まで運ばれています。運が良ければ、石灰石を満載した貨物列車を車窓から見られるかもしれません。

見納め…「2階席からの眺め」で新潟へ!(12枚)

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コメント

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1件のコメント

  1. 1階席からの眺めも見納めなのでそちらもよろしく。