フォークト博士の珍奇な飛行機 また彼は如何にして技術1本で日独米を渡り歩いたか

日本とも縁深いリヒャルト・フォークト博士は、左右非対称機など奇抜すぎる航空機開発で広く知られますが、 一方で「正統派」な業績の数々を残しており、現在の旅客機にもその成果を見ることができます。いわゆる天才のお話。

珍兵器開発で知られるフォークト博士 日本にも縁が

 リヒャルト・フォークト博士というと、ミリタリー趣味、そのなかでも特に珍兵器好きの人に知られた名前です。戦間期や第2次世界大戦中に「左右非対称機」という奇抜な形の航空機を企画したとして有名になりすぎた同氏ですが、実は日本の航空機産業の発展にひと役買うどころか、航空機そのものの発展に重要な役割を果たした人物なのです。

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BV141偵察機(画像:Bundesarchiv、Bild 146-1980-117-02/Hoffmann/CC-BY-SA 3.0、CC BY-SA 3.0 DE〈https://bit.ly/3kKpZMz〉、via Wikimedia Commons)。

 フォークト博士は第1次世界大戦中、ドイツのツェッペリン飛行技術会社で働いていました。このとき、航空機会社ドルニエの創業者であるクラウディウス・ドルニエに出会い激励されたことで、第1次世界大戦後、本格的に航空機設計家としての道を志します。

 シュトゥットガルト大学を卒業後、1923(大正12)年からハインケル社で航空技師として短期間、働いた後、1924(大正13)年にはクラウディウス・ドルニエに推薦される形で、日本の川崎造船所飛行機部(後の川崎航空機)に技術協力のスタッフとして派遣され、八八式偵察機や九二式戦闘機の設計に携わります。

 1933(昭和8)年まで川崎航空機に派遣されていたフォークト博士ですが、そのときの弟子として最も有名なのは土井武夫技師でしょう。フォークト博士の補佐役として頭角を表すと、博士の推薦により1931(昭和6)年、ドイツに技術習得のために出張し、その後は三式戦闘機「飛燕」や、戦後の国産旅客機「YS-11」の開発に関わるなど、日本の航空技術発展の歴史に欠かせない人物となります。

 なお、現在ではその独自色の強さがネットなどではネタにされがちなカワサキですが、この当時の独自色は、陸軍機を専門に開発する会社であることや、空冷エンジンではなく液冷エンジン搭載機を中心に開発をしていたことくらいで、フォ―クト博士の設計も後の奇抜さはありませんでした。

【写真】フォークト博士×川崎の「正統派」 八八式偵察機

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