フォークト博士の珍奇な飛行機 また彼は如何にして技術1本で日独米を渡り歩いたか

日本とも縁深いリヒャルト・フォークト博士は、左右非対称機など奇抜すぎる航空機開発で広く知られますが、 一方で「正統派」な業績の数々を残しており、現在の旅客機にもその成果を見ることができます。いわゆる天才のお話。

ドイツ帰国後 新興航空機メーカーで一気に…

 1933(昭和8)年ドイツに帰国した後は、B&V(ブローム・ウント・フォス、「&」は当時の表記)社という造船会社に、新設された航空部門の筆頭技術者として入社します。ここからが、珍兵器開発者として知られるキャリアの始まりです。

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Ha137急降下爆撃機。翼端に注目(画像:The Flight magazine archive from Flightglobal、CC BY-SA 4.0〈https://bit.ly/2XOrWOZ〉、via Wikimedia Commons)。

 急降下爆撃機計画で、1935(昭和10)年にドイツ航空省の審査により正式採用されたユンカース社のJu 87の対抗馬となったHa 137や、1937(昭和12)年に初飛行し、大戦中も使用された飛行艇であるHa 138(BV 138)の設計を手掛けるなど、それまで「正統派路線」で新興飛行機メーカーの存在感を高めていたフォークト博士ですが、1937年7月に行われた直協偵察機コンペで、BV 141という奇妙な航空機を提案します。

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性能良好だったというBV141(画像:Bundesarchiv、Bild 101I-602-B1226-24/Scholz/CC-BY-SA 3.0、CC BY-SA 3.0 DE〈https://bit.ly/3m8L02T〉、via Wikimedia Commons)。

 このBV 141、ドイツ航空省の性能要求である「視界をできるだけ広く確保できる単発偵察機」という項目に応えるために、コックピットを胴体から切り離し、これを翼に搭載した左右非対称の機体としました。エンジンの問題で不採用となりますが、奇妙な形のわりには操縦性や安定性に大きな問題はなかったといわれています。

 第2次世界大戦期間中も、コックピットを中央胴体終端部に配した3胴式の高速爆撃機P.170、 左右非対称に加えてレシプロ・ジェットの混合動力攻撃機であるP.194など、異形な航空機の設計案を出し続けますが、正式採用されることはありませんでした。ドイツ敗戦後はアメリカに移り航空機研究を続け、1959(昭和34)年からはボーイング社で技術顧問として航空機開発に関わるようになります。

【写真】フォークト博士×川崎の「正統派」 八八式偵察機

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