世界一のブッ飛びミニカー「ホットウィール」はなぜ世界を制したか 改造車文化を手のひらに

車両は奇抜で「世界一速く」!

 ここで認識しておくべきことは、これら行為の根底には、いかにもアメリカらしい「Do it Yourself」の精神が流れていることです。自分の手をオイルで汚して作り上げることがプライドであり、貴族的な趣味性が根底にあるイギリス~ヨーロッパの自動車文化とは、そこが決定的に異なるポイントだと言えます。そしてもとより、マテルのお膝元であるカリフォルニアはその本場でした。

「カリフォルニア・カスタム」と名づけられたこのスタイルは、ボンネットから突き出たエンジンやスーパーチャージャー、太いエグゾーストパイプ、赤いストライプがあしらわれたスポーティなタイヤ、キラキラと輝くマグホイールなどをミニカーの世界にもたらしました。加えて「スペクトラフレーム・カラー」と名づけられた独特の塗装方法により、ピカピカに研磨された金属製ボディに明るい色調のクリア塗装を施したことで、その仕上がりはまるでフルーツキャンディのようにギラギラと輝き、少年たちの目を奪わずにはいませんでした。

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初期ホットウィール。当時ライバルだった「マッチボックス」同様、開閉ギミックを持ち、エンジンなどのディテールが繊細にレリーフ表現されている(ヤマダマ撮影)。

 さらにマテルは、ホットウィールにもう1つの全く新しいコンセプトを埋め込んでいました。それが「今までのどんなミニカーよりもよく走る」ということです。

 マッチボックスが鉄製の太いシャフトで左右のタイヤをつないでいたのに対して、ホットウィールは細いピアノ線を使用。なおかつそのピアノ線はねじられてシャシーに止められており、いわゆるトーションバー(ねじり棒)サスペンションとしての機能も担っていました。タイヤおよびホイールも接地面積が極めて少ない独特の設計を採用したことで、ホットウィールは凄まじいスピードで走らせることができました。結果、この性能を活かすべく、ミニカー本体の他に様々な専用コースセットも発売されたのです。

【なぜ「世界一速い」?】歴代ホットウィール名モデルを写真で見る

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