どう自衛? 多発する歩行者巻き添え事故 交差点の隙間から突っ込む車 対策はあるのか

歩車分離のあり方考える必要も

 交差点で歩道を通行中の歩行者が巻き込まれるケースは2019年5月8日、滋賀県大津市で起きた園児と引率の保育士15人が死傷した事故が全国的に知られています。

 これも上野と同じ交差点での右直事故でした。右折と直進の軽乗用車どうしが衝突。はずみで直進車が歩道で信号待ちしていた保育園児の列に突っ込みました。この県道は歩道と車道に縁石を設けることで分離されていましたが、前出した都内の事故のようにガードパイプなどの防護柵はありませんでした。

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大津の事故が発生した大萱6丁目交差点。左は琵琶湖。交差点右下の広い歩道部で信号待ちしていた園児や保育士が犠牲になった(画像:Google Earth)。

 事故後、滋賀県はガードパイプを設置。防護柵には設置基準があるので車両の侵入を防ぐ効果は期待でき、改善されたように思えます。しかし、横断歩道に防護柵は設置できないわけですから、安全のため柵から離れて信号待ちをする習慣がついている人も、完全に自衛できるわけではありません。今後は道路管理者も歩行者が巻き添えにならない設置基準を考えていく必要があります。

 しかし、何よりも大切なことは、運転者が交差点進入時に無理をしないことです。直進車は黄色信号で無理に交差点に入らない。右折と直進では直進車が優先、右折車は「直進車が譲ってくれた」と思っても、直進車をやり過ごしてから曲がることを徹底することが、事故の最強の防護柵になるはずです。

【了】

【あわや大惨事】デパート入口すぐ横に衝突した上野松坂屋前の事故現場(写真)

Writer: 中島みなみ(記者)

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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