終了迫る「奥出雲おろち号」大人気! 鉄道ファンを「地域のファン」に変えるその仕組み

JR木次線の観光列車「奥出雲おろち号」は運行終了が発表され、なかなかチケットが取れない状態が続いています。何度も訪れるリピーターもいるというこの列車、どのような魅力があるのでしょうか。チケットを取る「裏ワザ」も聞きました。

ローカル観光列車の草分け「奥出雲おろち号」

 島根県の日本海側から広島県の山間部を結ぶJR木次線(宍道~備後落合)のうち、木次~備後落合間を中心に運行される観光列車「奥出雲おろち号」が2021年11月現在、チケット争奪戦となるほどに人気が高まっています。6月にJR西日本が2023年中の運行終了を発表し、いわば駆け込み需要が起こっているためです。

「奥出雲おろち号」は1998(平成10)年に運行を開始。ローカル線での運行とはいえ、当初から、予約率が平日を含めて7割を超えるほどの根強い人気を保ち続けています。

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木次駅に停車する奥出雲おろち号(宮武和多哉撮影)。

 多くの人々を魅了するのは、出雲坂根~三井野原間で170mもの高低差を克服する「3段スイッチバック」を行き来する際の雄大な車窓ではないでしょうか。出雲坂根駅を出た列車はジグザグに軌道を描きながら最徐行で駆け上がり、JR西日本で最高所(標高726m)にある三井野原駅へたどり着きます。その間、道路橋の「奥出雲おろちループ」も望める車窓からの眺めは“20分間の動く展望台”ともいえるほどに絶景かつ珍しいものです。

 沿線の駅も、神社を模した駅舎の出雲横田駅、構内に湧き水(延命水)がある出雲坂根駅、松本清張の小説「砂の器」にも登場した木造駅舎が残る亀嵩(かめだけ)駅など個性ある駅も多く、停車中のちょっとした楽しみの豊富さも魅力の一つと言えるでしょう。

 運行開始から23年。JR西日本は、牽引用ディーゼル機関車2両(DE10、DE15)の老朽化が進んでおり、運行継続が難しくなってきたことから終了を発表しました。ただ、その駆け込み需要だけでなく、これまで備後落合始発の「おろち号」復路に接続する列車がなかった芸備線で2021年秋に期間限定・週末のみ増便が行われているため、広島県側からもグッと乗車しやすくなり、復路も徐々にチケット争奪戦の様相を見せているのだとか。

 しかしながら、この列車の人気は今に始まったことではありません。もともと沿線自治体の発案で実現したこともあり、各駅で展開されるサービスは、近年の高級志向な「クルーズトレイン」とも違った魅力を持っています。なかには、いつしか鉄道ファンから地域のファンとなり、顔を覚えられるほどのリピーターも少なくないとのこと。それらを確かめに現地へ行ってみました。

【盛り上がってます!】奥出雲おろち号のルート/旅レポ(写真43枚)

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2件のコメント

  1. 今までは結構気軽に乗れていたのに、最近は券売機でも全然取れない!
    ツアーもことごとく完売してるみたいだし、こんなに入手困難になるとは思わなかった

    食事の充実ぶりはもちろんだけど、弁当類は予約したほうがいいです。
    商品の受け渡しに時間がかかって遅れても、運転本数が少ないから特に支障がないwww
    出雲八代での子供軍団の歓迎は壮大だったし、おろちループも綺麗に見れるし(国道に展望台もあるけど雑草が伸びすぎて使えない)、指定席取れたらまた乗りたいな

  2. 列車は終了が予告されていますが、木次線はどうなるのでしょうか。