成田空港で進む「3本目の滑走路」意味あるの? 一見ハテナなレイアウト 裏にある思惑

そもそもなぜ横風用が必要なの?

 成田空港はそもそも、処理能力の限界が想定された羽田空港を補完するため、設置が計画されました。新空港建設にあたって、滑走路をどのように配置するかということは最重要な課題のひとつです。

 成田空港の計画当時は、国際線の大型機材である「ジャンボ・ジェット」ことボーイング747が安全に離着陸でき、なおかつ将来的により大型の機材が就航できる余地を残しつつ、できれば超音速旅客機も就航可能な滑走路の長さを検討することになりました。

 また滑走路が1本では、何らかの支障が発生した際に、空港機能が止まります。そのため、機能を補完するサブの滑走路として、少し短めの平行滑走路を配置するのがベターでしょう。ただ成田空港では、反対運動をはじめとする諸事情により、A滑走路1本でとりあえず1978(昭和53)年に開港し、サブ的役割を担うB滑走路は2002(平成16)年に2120mで使用を開始したのち、2009(平成21)年に2500mまで延長されました。

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現在の成田空港の滑走路レイアウト(国土地理院の地図を加工)。

 そして同空港で長年のテーマとなってきたのが、いわゆる「横風用滑走路」です。

 滑走路の方角は、まず空港周辺における年間の風向きの傾向を調べ、検討を進めます。成田空港の場合は、風向きがほぼ南北方向であるという統計結果から、ほぼ南北を貫いている現在の滑走路方向が決定されたようです。

 ただし、気象は変化するものですから、当然風向きも年中固定されているわけではありません。成田空港も春などを中心に、東西方向の強い風が吹きます。飛行機は実は横風に対して高い耐性を持っているわけではありません。このことから、いわゆる横風用滑走路を設置することが望ましいということになります。少なくとも、その国を代表する空港であれば、主滑走路、平行するサブ滑走路、横風用と、計3本の滑走路を設置したいところです。

 ちなみに2021年現在、国内でこの条件を満たしている空港は、羽田のみとなっています。

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コメント

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2件のコメント

  1. 反対派が一時期標榜していた廃港は貨物便があるから難しいとしても、これだけ飛行機が飛ばなくてもなんとかなってしまった。本気でCO2排出量を減らすつもりがあるなら、コロナ体制は1つのモデルだ。

  2. まずは誤字を直せぃ