成田空港で進む「3本目の滑走路」意味あるの? 一見ハテナなレイアウト 裏にある思惑

新滑走路で30万→50万まで発着回数増加ナゼ?

 成田空港の場合は、40年以上の運用実績をもとに、横風用滑走路の設置よりも、離着陸回数を年間50万回に増やすことを前提として、既存の滑走路2本と並行するC滑走路の新設を優先したものと思われます。

 ただ、B滑走路とC滑走路は並行するというより、ほとんど一直線上にあり、とてもこの2本から同時に離着陸できるようなレイアウトではありません。どうやって発着回数を増やすのでしょうか。

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成田空港の拡張計画(画像:国土交通省)。

 前出の通り国土交通省は、成田空港で新滑走路を作ることで発着回数が年30万回から50万回まで増やせるとしています。この根拠は「スライド運用」というルールで、実装すれば同空港の実質的な運用時間を増やすことができるとしています。

 スライド運用では、深夜早朝の時間帯にかけB滑走路と新C滑走路を“早番”と“遅番”で使い分け、それぞれの滑走路で時間をズラして7時間の静穏時間を確保します。このことで周辺の騒音環境に配慮しながらも、空港の運用時間を伸ばすことが可能なわけです。現在同空港の運用時間は6時から23時ですが、新滑走路を設置し、スライド運用を実施することで、運用時間を5時から0時30分まで延長できるとしています。

 なおすでに、新C滑走路の設置には地元との調整も住んでいるとのことですが、歴史的に見ると、用地買収には時間を要すると考えるのが妥当でしょう。

 現代の大きな空港は海上につくるのがトレンドですが、成田は、そのなかでも貴重な陸上の大空港です。これにはさまざまな利点もあります。今後も、成田空港が発展を遂げることを祈りたいものです。

【了】

【なるほど】ぱっと理解「スライド運用」の利点&超巨大「成田空港初期案」

Writer: 種山雅夫(元航空科学博物館展示部長 学芸員)

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

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コメント

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2件のコメント

  1. 反対派が一時期標榜していた廃港は貨物便があるから難しいとしても、これだけ飛行機が飛ばなくてもなんとかなってしまった。本気でCO2排出量を減らすつもりがあるなら、コロナ体制は1つのモデルだ。

  2. まずは誤字を直せぃ