防衛大臣が明言「第2宇宙作戦隊」なぜ山口県に?「宇宙自衛隊」は誕生するか
防衛大臣が、山口県にある航空自衛隊防府北基地に「宇宙作戦隊」の2番目の部隊を新設すると明言しました。なぜ山口県なのか、部隊の任務はどのようなものなのでしょうか。
宇宙作戦隊の任務や海外の状況
岸 信夫防衛大臣は2021年11月14日、山口県防府市に所在する航空自衛隊防府北基地を視察した際、2022年度に「第2宇宙作戦隊」なる部隊を同基地に発足させる予定と発表しました。なぜ山口県の防府なのか、そして新設部隊はいったいどのような任務を帯びるのか、資料から考察していきます。
そもそも、防府北基地へ新設される予定の部隊に「第2」と付いていることからわかるとおり、“1番目の”宇宙作戦隊がすでに存在します。この“元祖”宇宙作戦隊は、2020年5月18日、東京都府中市にある航空自衛隊府中基地に、防衛大臣直轄の部隊として発足しました。
その主な任務は宇宙空間の監視で、JAXA(宇宙航空研究開発機構)やアメリカ軍とも連携しながら、人工衛星やスペースデブリなどの宇宙物体の軌道を解析・予測し、必要であれば日本を始めとした各国の人工衛星などに回避指示を出すなどして、宇宙空間の安定的な利用確保のために活動します。
このような任務を宇宙状況監視(SSA)といいます。海外を見ると、2010年代後半より、各国で独立した軍や専従の部隊を創設したり、あるいは既存の組織を拡充したりする例が見られます。
ロシアでは2015(平成27)年に空軍と、それまで独立兵科として編成されていた航空宇宙防衛軍の指揮系統を統合し、「航空宇宙軍」を設立しました。一方、中国も同年に軍事衛星や測位衛星の運用と、サイバースペースでの防衛、電磁波等での電子戦を任務とする戦略支援部隊を創設しています。
アメリカでは2019年に、空軍内の宇宙軍団などを母体に「宇宙軍」を新設し、陸海空軍、海兵隊などと並ぶひとつの軍種として活動しています。なお、フランスでは2020年に空軍が発展改組され、名称を「航空宇宙軍」に改めました。
それぞれの担当範囲を見ると、地面を離れた領域、すなわち大気圏内から宇宙空間までワンストップでカバーする軍や部隊として想定されていることがわかります。
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