防衛大臣が明言「第2宇宙作戦隊」なぜ山口県に?「宇宙自衛隊」は誕生するか
「宇宙自衛隊」は誕生するか?
宇宙作戦隊の創設や宇宙状況監視レーダーの設置など、防衛における宇宙利用の取り組みは、国が策定する宇宙基本計画と連動しています。SSA体制の整備については、2015(平成27)年に決定された宇宙基本計画の工程表で「SSA体制構築」として記載されており、2022年度までに整備することとされています。
これを受け、既にSSAに関係する技術を保有している内閣府、文部科学省/JAXA、防衛省は2016(平成28)年3月に申し合わせを行い、各々が保持するシステムの能力を確認し、理想のシステムとの差を埋める方法を話し合いました。文部科学省/JAXAとなっているのは、JAXAの主管官庁が文部科学省のためです。SSA体制は防衛省単独ではなく、国内他機関との連携を行って整備します。その先にはアメリカとの情報共有も視野に収めています。
この時点で文部科学省/JAXAは岡山県鏡野町のレーダーで、高度1000kmにおいて30cm級の物体を、他方で同県井原市にある光学望遠鏡を用いて、高度約3万6000kmの静止軌道付近で数十cmの物体を監視することになっています。
自衛隊の宇宙監視能力と、最終的に目指すべきレベルはこの時点で公開されていませんが、アメリカが10cm級の監視能力を持つことから、この程度を目指して整備されると予想されます。
前述したように、宇宙作戦隊の上位部隊として宇宙作戦群が設立されることは既に決まっていますが、その先については現時点で公開されている計画はありません。さらに規模を拡大して、アメリカのように独立した「宇宙自衛隊」が設立されるのか、ロシアやフランスのように航空と宇宙を並列で受け持つ「航空宇宙自衛隊」となるのか、それとも現状維持なのか。それは今後の実績や国際情勢で決まってくることになるでしょう。
【了】
Writer: 金木利憲(東京とびもの学会)
あるときは宇宙開発フリーライター、あるときは古典文学を教える大学教員。ロケット打ち上げに魅せられ、国内・海外での打ち上げ見学経験は30回に及ぶ。「液酸/液水」名義で打ち上げ見学記などの自費出版も。最近は日本の宇宙開発史の掘り起こしをしつつ、中国とインドの宇宙開発に注目している。
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