高松駅「連絡船うどん」閉店 消えゆく「宇高連絡船のうどん」の記憶 うどんダッシュって?

JR高松駅の改札内で営業を続けてきた立ち食いうどん店「連絡船うどん」が、2021年11月末を持って閉店します。この店が再現していた「宇高連絡船のうどん」や、これまで高松駅改札内にあったうどん店の歴史をたどります。

「連絡船のうどん」から「連絡船うどん」へ

「うどん県」を称するほど独特の麺類文化を築き上げてきた香川県で、最大の鉄道駅であるJR高松駅構内の「連絡船うどん」が、2021年11月末をもって営業を終了します。最終日には駅長による花束贈呈などのささやかなセレモニーが行われる予定です。

 今回の閉店は、2023年度に完成が予定されている駅ビル建設のための立ち退きで、同店横にあったスーパーマーケットも2019年に閉店、跡地に作られたパーク&ライド駐車場も「連絡船うどん」とともに閉鎖が告知されています。

 連絡船うどんは新型コロナウィルスの影響で数か月休業し、10月に営業を再開したばかり。その矢先の閉店発表とあって、ひさびさに来店してうどんを味わいつつ、同時に別れを惜しむ人々が多くみられました。

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「連絡船うどん」の麺は「めりけんや」製。柔らかくてモチモチしている。かつての連絡船上のうどんは、ブヨブヨしていることも多かった(宮武和多哉撮影)。

「連絡船うどん」はその店名の通り、高松港と岡山県の宇野港との間で運航されていた鉄道連絡船「宇高連絡船」船内で販売されていたうどんを再現し、提供しています。瀬戸大橋が開通すると連絡船は姿を消し、船上のうどん店も過去のものとなりましたが、当時を懐かしむ人々も増えたため、連絡船廃止から10年を経た2001(平成13)年、関係者にヒアリングを繰り返して当時の味に近づけた「連絡船うどん」が営業を開始しました。店内には現役時代の連絡船の写真を掲示し、屋外に飲食可能なデッキを設置するなど、往時の記憶をできるだけ呼び起こせるようなつくりとしています。

 宇高連絡船といえば、鉄道との乗り継ぎ時に列車の席を確保しようとする「高松ダッシュ」「宇野ダッシュ」が鉄道ファンの語り草にもなっていますが、船上では「うどんダッシュ」も見られました。というのも、1回運航あたりのうどんの積み込みに限界があり(100食程度とも)販売数が限られていたからです。また、食べる場所が主に甲板上であったことなど、ここならではの光景を思い出す人が少なくありません。

 味については、麺を高松市内の有名店4店(中浦製麺、源芳、井筒、かな泉)が提供していたものの、実際に食べた人からは「食べながら見る景色は素晴らしいけど、味はそこまででも」という声も。その証言を集めると、ダシは「薄味ながら風味がかなり強め」で、「イリコ(カタクチイワシの稚魚の干物)、昆布だけではなくサバ節(香りにインパクトを出す際に用いられることが多い)が相当強めだったのでは?」という推測も聞かれました。

 このように、さまざまな形で記憶に残っている”連絡船のうどん”は、なぜ多くの人々に語り継がれ、懐かしまれているのでしょうか。同時に、連絡船とはまた違った道を歩んできた“高松駅改札内のうどん店“の歴史を振り返ってみましょう。

【まもなく閉店】「連絡船うどん」を写真で見る

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