ボーイングの巨大次世代機“777X” 独特の「折れる主翼」はなぜ誕生? 実は元祖ではない
初代「折りたたみ式主翼」はなぜ頓挫?
従来型777の「折りたたみ式主翼」は、777Xのように標準装備ではなく、航空会社がオプションで設定できました。ただ、結果的には航空会社からのオーダーが獲得できずに頓挫しています。
航空会社から見るとこのオプションは、折りたたみ部分の機構と強度、重量などが未知の領域であったことや、「ジャンボ・ジェット」が大ヒットしたため、多くの空港で、大きな改修をせずに777を受け入れられる体制がすでに構築されていたことなどが、オーダーがなかった一因としてあげられるでしょうか。
なお一方で、軍用、とくに航空母艦搭載機の世界においては、「折りたたみ式主翼」は、収容スペースを少しでも有効に使用できる一般的な仕様といえるでしょう。
たとえばF-4「ファントムII」、F/A-18「ホーネット」などは主翼をたためますし、F-14「トムキャット」などの可変後退角翼なども、純粋な折りたたみ式主翼ではないものの、同じ意味があるといえるでしょう。ちなみに、「折りたたみ式主翼」を持つF-8「クルセイダー」は、なんと、翼を折りたたんだまま発艦してしまったこともありました。
777Xにハナシを戻すと、同機は折りたたみ式主翼を搭載したまま、就航する可能性が濃厚です。また、国内でもANA(全日空)が発注していますので、将来的には、日本でもそう珍しくはない旅客機になるのかもしれません。
ただ、実用化に向けては、さすがに構造的な点はクリアしているとは思いますが、実際の空港でどう主翼をオペレーションするか、ということもポイントになりそうです。おそらくコクピットから主翼を肉眼で見ることは困難でしょう。ちなみに、翼をたたむスイッチはレバータイプで、結構シンプルなもののようです。
そうなると、どのタイミングで翼端を地上で変形させるのか、それを誰がどのような方法で確認するか……など、どうコントロールしていくのかが注目されます。
【了】
「翼を大きくすると空気抵抗が減る」
そうだっけ?
空気抵抗は真逆で「増える」が揚力も増えるので、結果燃料消費が減らせるって話だったと記憶してるんだが。
主翼を単純に相似形に大きくすれば空気抵抗は増えると思います。
よく面積が同じ同士で比べると「アスペクト比が大きい飛行機のほうが空気抵抗は小さい」というのと混同したのではないでしょうか。
1989年頃ボーイング社が開発構想を提示したB767-X(後のB777)でFolding wingが提案されたのですが、ANAが反対したことによって、非採用になりました。当時私はWorking Togetherの会議に参加して、全日空としての考えを調整取りまとめて、反対意見を述べた結果、非採用となった経緯があります。このWorking Togetherに参画したAirlineは、全日空、アメリカン航空、英国航空、キャセイパシフィック航空、デルタ航空、日本航空、カンタス航空、ユナイテッド航空の8社でしたが、全日空以外の会社は意見無しでした。その時のプロジェクト・リーダーが執行役員のアラン・ムラリー氏(後のボーイング民間航空機会社のCEO)でした。
> 超大型を意味する「コードF」は、翼幅65m以上と定められています。ちなみに2021年現在、「コードF」の旅客機は、エアバスの総2階建て旅客機「A380」のみです。
翼幅68mの747-8は一体どこにいるんですか。A380とAn225しか分類されない重量区分の「super heavy」と取り違えてないですか。