戦闘機か!? 謎フォルムの画期的ミサイル「レギュラス」がトホホ兵器となったワケ

超斬新なのに「傑作兵器」になれなかったワケ

 ただ「レギュラス」は冷戦下の新基軸の兵器としても期待されましたが、同国の歴史のなかで傑作兵器となったかというと、そうとは言い切れないところもあります。というのも、この兵器を運用する上で、大きな課題があったのです。

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「レギュラス」を搭載した潜水艦「グレイバック」(画像:アメリカ海軍)。

 「レギュラス」を搭載可能な潜水艦は5隻作られました。ただ、「レギュラス」を発射する際には、母艦は一旦浮上しなければなりません。さらに発射した後も、母艦は水上に留まらなければならなかったのです。

 実はこの兵器は自律した飛行ができず、発射したあと潜水艦からの電波誘導が必要でした。兵器をコントロールするには、飛行中の兵器から半径400km以内に母艦が留まる必要がありました。これでは母艦は“袋のネズミ”状態だったでしょう。

 もちろんアメリカ側もこの課題を認識していたようで、次々に後続モデルをデビューさせます。マッハ2で飛行し、航続距離を2000kmまで伸ばし、航法システムにも改修を加えた後継機「レギュラス2」がこれでした。

 ただ「レギュラス2」は50基ほどの生産で終わりました。これは、ロケットエンジンを搭載した潜水艦発射弾道ミサイル「ポラリス」の出現で、そちらにシェアを奪われたためです。

 その後のアメリカ海軍は、原子力潜水艦を世界中の海域に派遣して、核攻撃に対する抑止力としています。「レギュラス」はたしかに課題もありましたが、その端緒にある兵器であったことは間違いありません。

 アメリカ国内では、パール・ハーバー含め、いまも10機近く「レギュラス」が展示されており、根強い人気が窺えるようです。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. トホホと呼ばれるのを恐れていては技術開発の芽を摘むことになりますね。後世史家は極超音速ミサイルの軌跡を追うのにも手間のかかるイージス艦を評してトホホ兵器と言うかもしれない。