戦闘機か!? 謎フォルムの画期的ミサイル「レギュラス」がトホホ兵器となったワケ

太平洋戦争始まりの地、アメリカの真珠湾の博物館には現在、「レギュラス」と呼ばれる不思議な形をしたミサイルが展示されています。実は同国の歴史では画期的な兵器だったのですが、とある理由で“迷機”となってしまったのです。

F-84譲りの設計 米海軍初の艦対地ミサイル

 太平洋戦争の幕開けとなった「真珠湾攻撃」。この舞台はいま、軍事拠点(太平洋艦隊司令部)であるとともに、「パール・ハーバー航空博物館」を始めとする展示施設も備わります。

 展示施設「アリゾナ記念館」の一角に、ネイビーブルーをまとった、飛行機なのかミサイルなのかよくわからない不思議な物体があります。その全長は約10mで、もっとも生産機数の多い飛行機としての記録を持つ「セスナ172」に近く、イメージ的には「よく見る軽飛行機と同程度の大きさ」と考えていただくのが良いのかもしれません。

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パール・ハーバーに展示されている「レギュラス」艦対地ミサイル(乗りものニュース編集部撮影)。

 ただそのルックスは「セスナ」のように平和そうではありません。機首に設けられたターボ・ジェット・エンジンのインテイク(空気の取り込み口)に飲み込まれそうで近寄りがたいものがあります。この物体は、アメリカ海軍の「レギュラス」艦対地ミサイル(潜水艦など艦船から発射されるミサイル)でヴォート社製です。

 実は「レギュラス」、アメリカ海軍初の艦対地ミサイルで、1943(昭和18)年に開発がスタートしました。このミサイルは、ドイツが開発した巡航ミサイルと先駆けとなった飛行爆弾「V-1」の影響を多分に受けているようです。両者を見比べると、たしかに一見飛行機のような主翼を持つ外形や水平尾翼を利用しない操縦方法といった共通点が見られます。

「レギュラス」のエンジンはターボ・ジェット「J-33」を搭載し、航続距離は800km、音速に満たない程度のスピード「亜音速」で飛ぶというスペックでした。

 実は「レギュラス」の機体設計には、ベースデザインとなった戦闘機が存在します。参考となったのは、アメリカ空軍F-84「サンダー・ジェット」。前方のインテークや後部のエンジン排気口の配置、主翼の後退角といったところは、まさに「コクピットのないF-84」といった見た目となっています。

たしかに激似!ベースとなった F-84「サンダー・ジェット」

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コメント

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1件のコメント

  1. トホホと呼ばれるのを恐れていては技術開発の芽を摘むことになりますね。後世史家は極超音速ミサイルの軌跡を追うのにも手間のかかるイージス艦を評してトホホ兵器と言うかもしれない。