まるで特撮メカ! アメリカ生まれの異形の垂直離着陸機「X-13」が初飛行-1955.12.10
12月10日はジェットエンジン搭載の垂直離着陸機において先駆けといえるX-13「バーティジェット」が初飛行した日。ただ、あまりにも構造が特殊過ぎたため、制式採用されずに終わっています。
滑走距離ゼロで飛べるよう最初から上向き
1955(昭和30)年の12月10日。アメリカの航空機メーカー、ライアン・エアロノーティカルが開発した垂直離着陸(VTOL)実験機X-13「バーティジェット」が初飛行しました。
第2次世界大戦終結直後の1940年代後半、アメリカ海軍は潜水艦に発着可能な垂直離着陸ジェット機の研究を進めており、その要求に基づき1947(昭和22)年にライアン社が開発したのが「バーティジェット」でした。
当初はアメリカ海軍の型式「F3R」が付与されていたものの、1953(昭和28)年にアメリカ空軍と改めて開発契約を結んだことで「X-13」に型式を変更。各種試験ののち、1955(昭和30)年12月10日に初めての水平飛行に成功しています。
それから2年後の1957(昭和32)年4月11日には、発射台から垂直に離陸したのち、水平飛行へと変化、そして再び垂直飛行へと戻り、発射台に張られたワイヤーにフックを掛けて駐機という一連の飛行にも成功します。
さらに同年7月30日には、首都のワシントンD.C.を飛び立ち、ポトマック川を越えてバージニア州アーリントンにある国防総省(ペンタゴン)に着陸するという一大デモンストレーションも達成。しかし、アメリカ空軍は、X-13は性能不足と判断し、開発中止を決断。
こうしてX-13は制式採用されることなく、試作機2機が造られただけで終わりました。2021年現在、試作機は国立アメリカ空軍博物館とサンディエゴ航空宇宙博物館に1機ずつ保存・展示されています。
【了】
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