ギラリ銀色「地肌むき出し旅客機」なぜ消滅? 昔は一般的 メリット多数でも消えたワケ
旅客機の歴史では長年、胴体に塗装せず地肌をむき出しにする「ベア・メタル」デザインはごく一般的でした。ただ近年その姿は下火に。さまざまな利点があるにもかかわらず、なぜ消滅へ向かっているのでしょうか。
アルミ系ゆえの「ベア・メタル」
かつて、胴体に塗装をせず、地肌をむき出しにする「ベア・メタル」デザインの旅客機はまったく珍しいものではありませんでした。飛んでいるところを地上から眺めていると、太陽の反射がギラギラと光り、まさに銀翼輝くという言葉がぴったりだと、筆者は記憶しています。ただ一方で、近年ではあまり見なくなってしまいました。
航空機の機体外面を構成する材料は、長年多くのモデルで、アルミ合金であるジュラルミン(超超ジュラルミン)が採用されてきました。ジュラルミンは、ドイツ人ウィルムが1903年に開発した金属材料で、当時発展を遂げ始めた飛行機の材料として採用されました。
この素材は鉄と同じ強度を持つ材料ながら、それよりも軽くでき、加工も容易であるというのが特徴です。つまり航空機にはピッタリな素材だったのです。それゆえ、第二次世界大戦が始まる頃には、ほとんどすべての飛行機がジュラルミンを材料として製造されています。
多くの方はご存知だと思いますが、アルミニウムは、素材そのままでも銀色に見え、研磨すれば顔を映せるほど鮮明な、鏡のような表面を構成することができます。
地肌むき出しのベア・メタルを採用するメリットとしては、航空機最大の課題である軽量化が実現できること。すべて含めるとトン単位となる塗料の重さを追加しなくて済み、コストをカットできることが広く知られる理由です。
実はプロペラ旅客機として最も名高いもののひとつ、ダグラスDC-3をはじめとして、戦後草創期の民間航空業界で、ベア・メタルはむしろカラーリング機よりも一般的なデザインだったこともあります。ただ当時の場合、軽量化以外の理由もありました。
ベアメタルの機体で思い出すのは、B-29、P-51DにJALカーゴの747ですね。