ギラリ銀色「地肌むき出し旅客機」なぜ消滅? 昔は一般的 メリット多数でも消えたワケ

実は「ベア・メタル」には深い歴史が?

 戦後草創期の旅客機で、ベア・メタルが一般的であった理由としては、たとえば当時「紫外線の影響が地上より強く、基本も氷点下になる高高度の環境に耐えられる塗料が開発されていなかった」「塗料が高価であった」「ジュラルミンが塗料に侵される心配があった」「機体表面を塗装で覆ってしまうと傷などの損傷を発見できない」などが挙げられます。

 胴体をむき出しではなく白に塗る、というのがスタンダードとなったのは、ジェット旅客機が運航開始してからです。理由として塗料の進化や、プロペラ機より高高度を飛行することから一層強くなる紫外線の影響を避ける必要があったこと、より高速で飛行するため機体表面を可能な限り滑らかにすることなどが要求されたこと――などが挙げられます。

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JALのボーイング727。胴体下部が「ベア・メタル」(画像:JAL)。

 ただ、その一方で、ジェット旅客機が一般的になったあとも、「下面だけベア・メタル」を採用する航空会社はありました。これは、下部は太陽の影響がないこと、整備上、下面の油などを発見しやすくすること、塗料を少なくして機体重量を少しでも軽量化することが目的でしょうか。

 アメリカン航空などは、全面ベア・メタルを採用。これは、塗装分の重量を浮かすためというのが広く知られている理由です、またJAL(日本航空)やANA(全日空)では、胴体下部だけをベア・メタルとするデザインも一時期採用されました。

 ただその後、ベア・メタルはどんどん下火になっていきます。ベア・メタルを長年会社のポリシーとしてきたアメリカン航空も、2013(平成25)年からついに、順次銀色の塗料を基調としながらも、よりマットな新塗装に変更します。

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コメント

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1件のコメント

  1. ベアメタルの機体で思い出すのは、B-29、P-51DにJALカーゴの747ですね。