見えてきた「次期戦闘機」の全貌 そもそもなぜ日・米・英3国タッグ? それぞれの役割

中身は「イギリス」か

 イギリスは日本の次期戦闘機とほぼ同時期、2030年代半ばの実用化を目指して、新戦闘機「テンペスト」の開発計画を進めています。イギリスはテンペストの開発にあたって、あくまでも自国が主導するという立場を堅持しながら、開発費の低減と開発期間の短縮を狙って、諸外国に開発計画への参加を呼びかけています。

 イギリスはテンペスト計画への諸外国の参加にあたって、必ずしも共同開発への参加を求めず、共有できる技術に関する協力でも構わないというスタンスを取っています。このため「我が国主導」で次期戦闘機を開発するという方針を打ち出した日本にとってイギリスは手を組みやすい相手であり、また双方がお互いの技術力を高く評価していることから、日英両国は協力に向けた話し合いを進めてきました。

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航空自衛隊の既存戦闘機F-2(画像:アメリカ空軍)。

 今回発表された日英両国による次期戦闘機のエンジンの実証事業は、日本のIHIとイギリスのロールス・ロイスが共同でエンジンの実証機を開発するものです。日本とイギリスが次期戦闘機とテンペストのエンジンを共同開発することが決まったわけではないものの、その要求には共通項が多いことなどから、同じエンジンではないとしても、かなり共通部分の多いエンジンが日英両国の新戦闘機に採用される可能性が高くなったと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

 防衛省はエンジン以外の部分でもイギリスとの協力を進めていく方針で、次期戦闘機とテンペストをどの程度共通化できるかについての話し合いを進めることも明らかにしています。

 次期戦闘機の詳細設計は2022年度から開始されるため、どのような戦闘機になるのかはまだ不透明ですが、イギリスとの協力がさらに進めば、外見は異なるものの、中身に関してはテンペストとかなりの部分で共通化されるという、日本はもちろん諸外国でもかつて例のない戦闘機になるのではないかと筆者は思います。

【了】

【「中身」はほぼ決まり?】次期戦闘機と共通化されると見られる英国の次期戦闘機 画像で見る

Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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1件のコメント

  1. 無人機を作れ無人機をすぐに無人戦闘機の時代になるぞ