巡洋艦なのに見た目空母! アメリカ発案「航空巡洋艦」なる多用途艦が“机上の空論”で終わったワケ

1930年に発効したロンドン海軍軍縮条約では、排水量1万トン以下の航空母艦の保有が制限されました。しかしアメリカは、巡洋艦に飛行甲板を備えた「航空巡洋艦」を提案し、条約に盛り込みます。これは一体どんな艦艇だったのでしょうか。

各国が造った実在の航空巡洋艦の中身

 他方でフランスもロンドン条約の頃には、航空巡洋艦を計画していました。1930(昭和5)年に計画されたPA6は、203mm砲6門、艦載機28機とカタパルトを搭載した航空巡洋艦的な艦型でした。フランスは1935(昭和10)年にも、デュケーヌ級重巡洋艦を空母に改装する計画を立てており、203mm砲4門を残すものが試案の中に複数見受けられます。

 イタリアも1925(昭和元)年に、203mm砲と全通飛行甲板を備えた航空巡洋艦を計画します。この艦型は艦内に魚雷艇を搭載する多用途艦でしたが、採用されず、代わりにトレント級重巡が建造されています。

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スウェーデンが第2次世界大戦前に建造した航空巡洋艦「ゴトランド」(画像:スウェーデン国立公文書館)。

 このように、各国で検討された航空巡洋艦ですが、最終的には「空母としては能力不足」で「巡洋艦としては攻防力が低い」といった問題点を払拭することができませんでした。

 実際に建造された航空巡洋艦は、水上機搭載能力を増した利根型や、スウェーデンの「ゴドランド」などしかなく、多用途性を求めた場合の軍艦設計の難しさを垣間見ることができます。

 航空巡洋艦は中途半端になりやすい艦種です。ただ、戦後に旧ソ連がキエフ級航空巡洋艦でミサイル巡洋艦と空母を両立しているほか、海上自衛隊のひゅうが型ヘリコプター搭載型護衛艦も飛行甲板に埋め込み式で、ミサイル運用能力を持ちます。これも航空巡洋艦的な艦種と捉えられなくもありません。今後も条件が整えば、生まれる艦種と言えるでしょう。

【了】

【試行錯誤の跡が】飛行甲板や主砲サイズが異なる複数のアメリカ航空巡洋艦案ほか

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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コメント

5件のコメント

  1. いずも的なニオイがぷんぷんするなぁ(´-`).。oO

  2. 冒頭「ワシントン条約では小型空母の保有制限がなかったので、各国は大型空母の建造に走った」って、論旨が飛躍してませんか?

  3. 個人的には航空巡洋艦といえば重巡洋航空母艦ミンスクですね。

    ソビエトがあった頃には毎年定期便の如く日本海を横断したりしていたのでその度に新聞紙上で写真を見たものです。またYak-38が垂直離着陸している画像が何度もTVに流れていました。

    その後どうなったのかを追ってみるとソビエト崩壊後即座に売りに出されているので重要度は凄く低かったんだなという印象です。

    対外的に誇示する為の艦であって運用乗員はアメリカの正規空母が5000人以上といわれる大所帯であるのに対してミンスクは1300人程度、艦載機のYak-38は12機と言うことで、日本周辺では実はあまり脅威ではなかったという事のようですね。

    あんな大きな艦が来ればすぐに警戒されるし、艦載機が飛び立てば即座に察知される状況下ではやられ役になるのが目に見えていますから。

    今は、中華人民共和国にあるみたいですね。

    • ミンスク、というかロシアの空母は全て「重航空巡洋艦」では?

      「重巡洋航空母艦」なんて聞いたことないですね。何かの仮想戦記と間違えてません?

  4. 写真破れてるの草

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