裏ワザで他国より有利に? ロンドン海軍軍縮条約での日本空母の台所事情
空母予備艦という抜け道
当時、日本は敵国空母による、本土空襲を恐れていました。各国の制限外空母を出現させたくなかったがために、保有制限を強めることを主張したのです。
また、日本が排水量1万トン以下の空母制限を提案した大きな理由のひとつには、空母予備艦の構想もありました。ロンドン条約では、基準排水量1万トン、速力20ノット(約37km/h)以下の特務艦艇であれば保有制限外、という規定が成立しています。この制限外艦艇を有事に空母へ改装すれば、空母戦力を大幅に増強できると考えていたからでした。
実際に、潜水母艦「大鯨」、高速給油艦「高崎」「剣崎」が空母予備艦として計画され、後に空母「龍鳳」「祥鳳」「瑞鳳」へ姿を変えています。また、水上機母艦「千歳」「千代田」も「必要に応じ航空母艦に改造し得ること」という要求がなされ、のちに空母へ改装されています。
もし、ロンドン条約で1万トン以下の空母が制限されていなかったら、アメリカは太平洋戦争開戦前にインディペンデンス級のような、小型空母を多数保有していたかもしれません。そう考えると、日本の空母制限に関する提案は、一定の外交的成果を上げたといえるでしょう。
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