軽自動車の“飛行機版” 世界で大ウケの新ジャンル航空機「LSA」とは 取り残されつつある日本

4人乗りのセスナ機すらLSAの範疇に

 こうして生まれたLSAは、“趣味”の範囲にとどまらず、いまや今後の航空産業の発展には欠かせない航空機の新カテゴリーとして、ICAO(国際民間航空機関)もその普及を奨励するほどまでに至っています。

 各国のLSA制度の要目を別表にまとめましたが、アメリカは近日中にもLSAの機体総重量の上限を2500ポンド(約1132.5kg)もしくは3000ポンド(約1359kg)に引き上げる見込みです。これが実施されると、4人乗り単発機で一番ポピュラーなセスナ172型機やパイパーのPA28シリーズに相当する機種もLSAの範疇に含まれるようになるため、その分野の市場に参入できる形態で生産されるのではないかと予想されます。

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各国のLSA(軽量スポーツ機)の概要(細谷泰正作図)。注1:ホームビルト機の場合はその51%以上を製作した者には整備資格が与えられる。

 また、航空先進国と呼ばれる国々では、すでに免許取得を目的とした飛行学校などでLSAを練習機として採用する動きが一般化しつつあります。もはやLSAは小型機の領域を超え、航空産業全体の裾野を支える不可欠な存在になっているといえるでしょう。

 翻って日本は現在、G7(主要先進7か国)構成国のなかで唯一、LSAが制度化されていません。これはLSAのメリットを享受できないだけでなく、航空分野全体の競争力という観点で、圧倒的に不利になる要因にもなっています。

 具体例を挙げると、日本ではパイロットなどの航空従事者を育成するコストが他国と比較して格段に高いという状況が生まれています。

 現状ではLSAとして生産された航空機を輸入しても、国内では航空機として運航することができません。そのため訓練コストの低廉化ができないのです。一方、世界的に見ると、すでにエミレーツ航空などではLSAを訓練用教材に用いています。

【エミレーツ航空の機体も】百花繚乱! 多種多様な軽量スポーツ機たち

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コメント

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2件のコメント

  1. 空ぶ自動車とか言う以前に、この種の飛行機への規制の緩和や法の改正が必要なのではないか? 日本ははやりに乗るのは早いけど、それを深化させることがヘタ。だから世界から取り残されて、あげくガラパゴス化する。

  2. 日本はG7で唯一云々とあるが
    何故が足りないんじゃない?
    例えばシベリアで何故サーフィンが流行らないかみたいなさ、地政学的な違いがあるんだから。
    日本は圧倒的に平地が少ない。だから離着陸できる空港がほどよい場所に作れない。そのため飛行機の利便性を享受しにくい。他にもいろいろ理由はあるけど、飛行機自分で操縦ことが一般化するほどの興味はないんだよ。
    例えば日本は四方を海に囲まれてるけど船舶操縦免許持っとる人は一般的ではないでしょう?そうなってない状態には、相応の理由がある。