「ホンダジェット」より先に成功した日の丸ビジネス機とは 三菱のユニーク機「MU-2」

なにが違うの?普通の飛行機と「MU-2」

 通常の飛行機は旋回の際、主翼左右後縁で、互い違いに作動する動翼「エルロン」を用いて機体を傾けます。ただ、MU-2ではその部分をフラップとしてしまったために、エルロンを設置できないのです。そのため、同機では主翼前縁の部分を互い違いに動かすことで機体を傾けます。

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航空自衛隊が2008年まで運用していたMU-2S救難捜索機。MU-2がベース(柘植優介撮影)。

 通常、主翼には「スポイラー」という動翼が備わり、主に抵抗板として減速に使用します。現代のジェット旅客機の着地した瞬間に、後方に立ち上がる主翼上面後方の板がこれです。MU-2では、この「スポイラー」を左右別々に作動させることにより機体を傾ける、一風変わった方法をとったのです。

 このような設計をもつMU-2は、デビュー後、国内では、航空自衛隊の救難機や飛行点検機、陸上自衛隊では高速連絡機、民間機では新聞社の連絡機などとして採用、現在ではほとんど引退しています。ただ諸外国にも販売されて、YS-11よりはるかに多い売り上げを記録しました。アメリカでは今も現役で飛んでいます。

 戦後の“日の丸”飛行機では、屈指の成功作となったMU-2ですが、実は、その主戦場とされたアメリカでの販売において大きな苦労をしています。

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