旧日本軍の“最強”水上機「瑞雲」偵察・爆撃・空中戦… なぜ機能をてんこ盛りに?

太平洋戦争直前、旧日本海軍は空戦性能良好で急降下爆撃や弾着観測も可能、航続距離は長大という異例の汎用機を発注します。こうして生まれたのが水上偵察機「瑞雲」ですが、なぜこんな機体が要求されたのか見てみます。

重巡から急降下爆撃機隊出撃の目論見

 当時の日本はワシントン海軍軍縮条約やロンドン海軍軍縮条約で空母保有数が制限されていたため、空母の急降下爆撃機だけでは、敵とみなしていたアメリカ艦隊への攻撃力が不足していました。そこで重巡洋艦が搭載する二座水上偵察機にも「急降下爆撃能力」を要求するようになります。

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終戦直後にアメリカ軍に接収された旧日本海軍の水上偵察機「瑞雲」(画像:サンディエゴ航空宇宙博物館)。

 妙高型巡洋艦以降に就役した重巡14隻、すなわち妙高型4隻、高雄型4隻、最上型4隻、利根型2隻、これらが搭載する二座水上偵察機の合計は44機にもなります。これらすべてが急降下爆撃能力を持つ機体ならば、空母2隻分の急降下爆撃機の機数とほぼ同等であり、その分、戦力が増えると考えたのです。なお、この思想に沿って旧日本海軍は、実際に重巡の航空艤装を改装しています。

 こうした考えのもと、旧日本海軍は1937(昭和12)年から急降下爆撃可能な新型水上偵察機の開発に乗り出しました。

「十二試二座水上偵察機」と呼称された新型機は、最高速度361km/h、航続距離1065km、7.7mm機銃3門、250kg爆弾1発を搭載可能という性能が要求されます。これは九九式艦上爆撃機一一型(空母搭載機)の最高速度381km/h、航続距離1472km、7.7mm機銃3門、250kg爆弾1発搭載と大差ない性能でした。しかし、造られた機体は操縦性と安定性に問題があり、不採用となります。

【カラー写真も】旧日本海軍の様々な水上機たち

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