ロシア空軍に不可解行動 ウクライナの空で大損害を被るのも当然な「定石」軽視とは?

身をもって知る 実は優秀だった自国ロシアの対空火器

 一方ロシア空軍は旧ソ連崩壊後、比較的小規模な武装組織や、比較的小国のジョージアを相手に戦ってきたものの、組織だった高度な防空システムを有する相手との戦いはウクライナが初めてです。

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防空網潰しの要となるはずだったSu-34戦闘爆撃機。レーダー電波源へと誘導されるKh-31ミサイルを搭載する。露軍機が少なくとも1機、撃墜されている(関 賢太郎撮影)。

 ウクライナでは地対空ミサイルを避けるため、非常に低い高度を飛んでいるロシア空軍機が多く目撃されています。低い高度はたしかに長射程の地対空ミサイルに狙われにくくなる利点がありますが、その一方で地上の機関砲や携帯型地対空ミサイルの射程に入ってしまう欠点があり、これもまた非常に危険です。

 機関砲弾は、命中しても即座に墜落とは限らないので地対空ミサイルよりは脅威ではないものの、被弾すれば何かが壊れ修理が必要ですから、整備に時間を要し部品在庫も消費、稼働率を確実に下げるので、すでにかなりの機が飛行不可能になっている可能性もあります。

 高く飛ぶと長射程地対空ミサイルでほぼ撃墜される、低空を飛ぶと消耗を強いられる。この厳しい状況にあってロシア空軍は7日目までに、さらに飛行機2機、ヘリコプター2機を失いました。最初の5日間に比べると損害が激減しており、ほとんど活動していないという見方もできます。

 そうだとして、「活動していない」のか「活動できない」のかは不明ですが、いずれにせよ今後ロシア空軍は大きな変革が必要となるはずです。しかも間違いなくやってくる経済制裁の影響下にあって、それは苦難の道のりとなるでしょう。

【了】

【写真】ロシア、ウクライナともに保有する自走対空システム

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Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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コメント

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2件のコメント

  1. 兵はウソを教えられてたりして。今のプーチンには自国のだろうと人がいくら死のうと関係がなくなってるんじゃないか?

  2. ウクライナへ派兵したロシア軍人の殆どは案外、親がウクライナ出身とかだったりするんじゃない?

    もしそうなら、これまでやらかしてきた作戦ミスも納得が行く。地対空ミサイルで高層マンションの一部を破壊したミスも腑に落ちるし、ゼレンスキーの暗殺ミッションを何度も失敗したのも納得が行く。

    ウクライナ人も当たり前のようにロシア語を話せるし、ロシア人とウクライナ人は見た目の違いも殆どない。なんとなくウクライナで戦士したロシア軍人の殆どは元々ウクライナ出身だったりしてな。