「FR車」は何がいいのか マツダが新SUVに採用の後輪駆動 日本で少数派になったワケ
狙うはアメリカ! SUVだけでなく
そして、マツダが今、狙っている市場はアメリカです。トヨタやホンダと比べると、マツダのアメリカ市場での販売は微々たるもの。逆に言えば、アメリカ市場は伸びしろのある新天地です。ここで販売を伸ばすことができれば、マツダの成長に直結します。
そこで必要となるのが、新たな商品です。マツダは、すでにアメリカ市場で「CX-5」や「CX-9」といったSUVを販売してきました。2022年1月からは、新しく作ったアラバマの工場で新型「CX-50」の生産も始まりました。しかし、これらはすべてFFベース。日本では立派に見えますが、アメリカでは“小さなクルマ”になってしまいます。
そこで欲しいのは、アメリカの売れ筋となる、より大きなSUV。それがマツダの言うところの新しい「ラージ商品群」となるわけです。当然、大きいクルマですから、大馬力を受け止めるFRの必要があるでしょう。ちなみに、新型CX-60は、日本と欧州向けのモデルは車幅が若干狭いナローボディとなります。本命のアメリカ向けは、もっと幅広いワイドボディの「CX-70」と「CX-90」の2つです。近く、その2モデルも発表されることでしょう。
また、ラージ商品群の量産化は、マツダにとって、ただ「SUVが増えた」だけではなく、別の価値もマツダにもたらします。それは、より大きく、大馬力のセダンにも挑戦できる資格です。
これまでのマツダのフラッグシップセダンはFFの「マツダ6」でした。車格的には、トヨタの「カムリ」、ホンダの「アコード」クラスに該当します。ところが、それよりも上の車格、メルセデス・ベンツの「Cクラス」「Eクラス」、BMWの「3シリーズ」「5シリーズ」、レクサス「IS」「LS」といったFRのアッパーミドルセダンには届きません。しかし、FRのプラットフォームがあれば、マツダにも挑戦する権利があります。
正直、FRプラットフォームさえあれば売れる! というほど、市場は甘くはないでしょう。しかし、スタートラインに立つ権利を得たというだけでも、マツダにとっては大きな一歩。これからのマツダの挑戦に期待しましょう。
【了】
Writer: 鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体にて新車レポートやエンジニア・インタビューなどを広く執筆。中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。1966年生まれ。
商用バンとか軽トラもFRじゃなかったっけ
プロボックスなんかも今はFRですよ
間違えた
プロボックスもFFですよ
スバルのシンメトリカルAWDも縦置きでは?
OEMを除けばボクサー一本足打法のスバルこそ縦置き王国な気が。
インプの2WD仕様がFRではなく縦置きFFなのは謎ですが。
ポルシェ911は例外的にFRでないと書くと文脈的にFFと誤解を招きますよ。RRなので後輪駆動であり、大馬力を受け止めるなら後輪駆動のセオリーからは外れていません。