米がウクライナに供与「自爆型ドローン」とは オート兵器は戦争を変える? 日本も検討

「全自動で攻撃可能」に問われる倫理観

 日本でも陸上自衛隊が令和4(2022)年度に、自爆型ドローンを念頭に置いた「小型攻撃用UAV(無人航空機)」について、各国の運用実態などの調査を計画しています。水陸機動団や第1空挺団、特殊作戦群など、できる限り一人の隊員が携行する装備品の重量を少なくする必要のある部隊にとって、有用な装備品の一つとなり得ると筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

 おそらく今後も自爆型ドローンの普及は進んでいくと考えられますが、それに伴う問題も顕在化しつつあります。

 前出の通り、自爆型ドローンは高性能のセンサーが搭載されていることから、あらかじめ攻撃目標の画像を認識させておき、無人機自身がセンサーの捉えた画像と照合して、自らの判断で突入することも技術的には十分可能と考えられます。

 筆者は海外の防衛装備展示会で、自爆型ドローンを開発しているイスラエル企業を取材しましたが、その際担当者の方が、「攻撃の判断を無人機に任せることも技術的には難しくないが、それは私の宗教観に反する」と述べていたことが、強く印象に残っています。

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スパイク・ファイアフライの操作用タブレット。突入自爆の判断は必ず人間が行う仕組みとなっている(画像:ラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ)。

 こうした見解を持つのはこの方だけではなく、開発者や使用する軍人の中にも、人間の生命を奪う行為をすべて機械任せにすることを危惧する声が根強くあります。

 このため、現在実用化されている自爆型ドローンは、自爆突入の判断を必ずオペレーターがする仕組みを組み込んでいます。これは自爆型ドローンに限らず、すべての無人装備品に共通して言えることですが、開発と運用にあたっての倫理の確立と、それに基づいた国際的なルール作りも必要になると筆者は思います。

【了】

【小さっ!】ロシア軍がウクライナ攻撃に使用している「自爆型ドローン」画像で見る

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Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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