読める?「垳トンネル」バス停の謎 日本唯一の使用例「幻の漢字」かつ「幻のトンネル」?
埼玉県八潮市に「垳トンネル」という、見慣れない漢字が入った名前のバス停があります。この漢字、日本でもここでしか見られないといいます。
知らないと読めない漢字
埼玉県八潮市に「垳トンネル」という、見慣れない漢字が入った名前のバス停があります。
このバス停は、つくばエクスプレスの八潮駅を発着する「八潮市コミュニティバス」の西ルートにあります。2つ隣には「垳公民館」というバス停も。
土へんに行と書いて「垳」、この漢字の読みは「がけ」です。日本中見渡しても、この漢字はここにしか使われていません。周辺は八潮市垳という地名です。地区内を流れる川は「垳川」で、綾瀬川と中川をつなぐ2.25kmの短い一級河川です。
八潮市の広報誌によると「水が流れて行く時に土も流されていく」という自然現象にちなみ、「水がはける」→「水がカケる」ことから「ガケ」という読みになり、漢字は「土が行く」という形のものが当てられたといいます。地区内にある「垳常念寺」という寺は14世紀に建てられたもので、その頃にはすでにその漢字が存在していたと考えられます。
ところで、八潮市には山が無く、市全体が海抜3mほどしかありません。「垳トンネル」バス停の周囲も平坦な住宅地と農地があるのみです。「トンネル」は一体どこにあるのでしょうか。
地元町内会の調べによると、この「垳トンネル」は、バス停の北側で地中に潜っていくつくばエクスプレスの「綾瀬川トンネル」の入口付近を指しているといいます。それを裏付けるように、住宅地図にも「垳トンネル」の標記があります。
つくばエクスプレスは足立区内を地下線で通過し、綾瀬川をくぐって埼玉県に入ると、上り勾配で30m以上の高低差を稼ぎ、高架になります。この時に地上へ出る地点がちょうどこの「垳トンネル」にあたるわけです。
ちなみに、「垳公民館」バス停へは、JR常磐線・東京メトロ千代田線の綾瀬駅を発着する、東武バスセントラルの「綾21系統」と足立区コミュニティバス「はるかぜ」も経由し、八潮駅方面へ乗り入れています。
【了】
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