驚愕の「リアル主人公」 撃墜王マックス・インメルマンの短くも鮮烈なる戦歴

マックス・インメルマンはWW1期ドイツのエース・パイロットです。その戦歴は短いながらも、いまなお語り継がれる鮮烈なものでした。「戦闘機」なるものが誕生するのと同時期に現れた撃墜王の伝説的な航跡を追います。

インメルマンはインメルマンにしか落とせず…そして伝説へ

 第1次世界大戦におけるパイロットの寿命はせいぜい1か月以内であったにも関わらず、必ず生還し戦果をあげて帰ってくるインメルマンは無敵に思われました。インメルマン以外にインメルマンを落とせるものなど存在しない、世界中がそう信じていました。

Large 20220408 01
最初の戦闘機フォッカー・アインデッカー。E.IからE.IVまであり、写真はインメルマンが最後に搭乗したE.IIIの同型機。

 そして1916(大正5)年6月18日。このときインメルマンの撃墜数は17機にまで達し世界2位、1位は盟友ベルケ18機であり、その差はわずかに1機でした。インメルマンは1位に並ぶチャンスに遭遇、機銃のトリガーを引きます。ところがアインデッカーのプロペラ同調装置が故障、本来ならプロペラの間隙から発射されるはずの弾丸は自機のプロペラブレードを貫通し、これを引きちぎってしまいます。

 吹き飛んだプロペラブレードは主翼を支える鋼線を切断、機体は空中分解しなす術も無くそのまま墜落、インメルマンは事故死してしまいました。皮肉なことに、インメルマンは最後にインメルマンを撃ち落としてしまったのです。

 インメルマンの戦闘機パイロットとしてのキャリアはわずか10か月。世界初の戦闘機アインデッカーとともに突如、現れ、そしてアインデッカーと共にわずかな期間で消えていった孤高のエースの戦歴は、まるで創作であるかのようです。元祖にして不世出の伝説は、全く関係のない「インメルマンターン」の名と共に不滅であるに違いありません。

【了】

エースの名を冠する航空機動「インメルマンターン」を図解

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 「USB挿しっぱ」でクルマが“故障”する? 三菱公式の投稿にSNS騒然 「一体ナゼ?」「これマジで起きるよ」
  2. 海自艦がロシア海軍の「超静かな潜水艦」を確認!浮上航行する姿を捉えた画像を防衛省が公開
  3. 都市に迫るロシア軍の「弾道ミサイル」が“空中で木っ端みじん”になる瞬間をウクライナ軍が公開 追尾から撃墜まで詳細に
  4. 「海自最大の護衛艦」と「世界最大級の軍艦」が洋上で並んだ! 圧巻の編隊航行を上空から捉えたショットが公開
  5. 旅客機の右エンジンに「侵入者」が直撃! 離陸直後に“炎が吹き出す”戦慄映像が公開される
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  3. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  4. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号