戦車などはどのように身を隠すの? いまなお大事な「古典的」カモフラージュの技術

周囲に溶け込み敵に悟られないようにする光学的カモフラージュは、各種センサーが発達したいまとなっては古典的な技術といえるでしょう。ところが昨今の変わりゆく戦争のなかで、再び重要性が増すことになる…かもしれません。

直線を消せ! 自然に溶け込むカモフラージュの基礎

 ひと口にカモフラージュといっても、技術が必要です。「あそこにアンテナが立っていますね。装甲車がいます。まだまだカモフラージュが甘いな」「そこには小型トラックが居ますね、対抗部隊の斥候だな」……陸上自衛隊の演習取材で同行してくれたある広報官氏は機甲科出身のベテランで、とにかく勘が鋭いのです。森林の中でも隠れている対抗部隊の戦車や車両をすぐに見つけてしまいます。特に視力がよいわけではないとのことですが、カモフラージュを見破るコツを習得しているようです。そのコツというのは、自然界にない不自然な直線を見つけることだと教えてくれました。カモフラージュの基本はその直線を隠すことにあります。

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カモフラージュして木立の下にパークする74式戦車(画像:2009年9月15日、月刊PANZER編集部撮影)。

 戦車では、いちばん目立つ直線は砲身です。充分なカモフラージュ作業をする時間がない時でも優先的にカモフラージュネットなどを巻き付けます。戦車や車両にはカモフラージュ用ゴムバンドの留め具があちこちに付いており、ここに刈りとってきた植生をゴムバンドなどでくくり付けて車体の輪郭を隠すように工夫します。必ずしも車体全体を覆う必要はありません。視覚装置やセンサー類を塞いではいけませんし、やり過ぎても動いた時にざわざわとはためいて、かえって目立ちますので加減が難しいのです。

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カモフラージュした73式大型トラック。タイヤなど回転部は隠せないが、車体下部の機器類には植生を被せている(画像:2009年9月15日、月刊PANZER編集部撮影)。

 植物でカモフラージュするのに草木なら何でもよいというわけではなく、その場所の植生にあわせる、つまりその場に実際に生えている草木を使わなければなりません。作業も大変で、乗員総出で鎌を使って草刈りをするのですが、その量は半端ではありません。部隊単位で植生カモフラージュをすると、あたりの草を刈り尽くしてしまい、季節によっては使える植生を求めて「収穫」に歩きまわらなければなりません。付近の植物の刈られ具合で部隊の規模が想定されることもあるので、1か所で刈り尽くすのを避けたり、刈り取り跡をまたカモフラージュしたりすることもあるそうです。

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SAAB社が開発した小型折り畳み式カモフラージュネット(画像:SAAB)。

 また、夏は刈り取った植物がすぐしなびて色が変わってしまうので、「鮮度」を保つため1日に2回から3回、植物を付け替えることもあるといいます。

これでもわかりやすいほう…こちらに砲を向けるカモフラージュした戦車

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