高速バスの「共同運行」異変相次ぐ 新ペアで攻勢 コロナ減便から復活できない事情も

高速バスの発展を支えてきた「共同運行」の仕組みに異変が相次いでいます。異なる地域のバス事業者が協力しあうことで路線網が拡大されてきましたが、業界が縮小傾向のなか、それぞれの思惑が交差。一方で攻めの新局面も見られます。

拠点外の路線やります 便数多く持ちます――そうする理由、できるワケ

 共同運行のメリットは、運行面では「遠隔地の車庫や窓口を相互に利用」、制度面では「路線新設の容易さ」が挙げられます。結果として、地元の名士企業である地方の乗合バス事業者が自ら参入したことで、地方部での認知が進み、高速バス市場拡大の原動力となりました。

 2002(平成14)年、制度改正により、高速バス路線新設に際して事業エリアは関係なくなり、エリア外の路線や、新規事業者の後発参入も認められるようになりました。ただ、路線新設に必須とされる停留所の確保は既存事業者が圧倒的に有利で、一気に競争激化とはなりませんでしたが、それでも「大都市の大手私鉄系と地方部の老舗事業者の共同運行」という古き良きスタイルは、少しずつ変化を迫られました。

 まず、大都市間の夜行路線を中心に、停留所確保が不要な「高速ツアーバス」という新業態で後発参入が相次ぎました。

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西鉄と阪急が1983年から2017年まで運行した福岡~大阪線「ムーンライト号」。共同運行のモデルになった(画像:西日本鉄道)。

 その一方、既存事業者自身も、バブル崩壊以降の長期的な経済低迷により変化しました。特に地方の事業者は、収支が悪化する中で経営方針が萎縮し現状固定や縮小に拘る事業者と、経営危機に際して社内改革を進め、逆に反転攻勢に出た会社に分かれます。後者の代表格がアルピコ交通で、冒頭に紹介した積極的な路線展開は、本来の事業エリアから出て、東京、大阪に営業所を構えたことが背景にあります。

 エリア外の大都市に貸切バスの営業所を設ける例は高度成長期に多く見られましたが、同社の東京、大阪進出は、それとは位置づけが異なります。長野県から東京、大阪へ向かう同社の路線は京王バス、阪急バスらとの共同運行なので、本来なら自社拠点は不要です。しかし、大阪方面は阪急の撤退とアルピコの単独運行化が徐々に進んでいました。また東京方面は、「管理の受委託」制度を活用し京王担当便の一部まで肩代わり運行しています。

 松本や長野発の始発が早朝4時台、新宿発の最終が長野県に着くのが25時台という地元のリピーターの需要に寄り添ったダイヤは、「半数ずつの便を担当する」という旧来の常識を、両社が乗り越えたことで実現しました。

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コメント

1件のコメント

  1. 誤解を招きかねない部分があるので、あえて指摘させて頂く。

    たとえば、西東京バスだが、1999年に分社化して発足した多摩バスに、高速バス部門を移管していたことがあり、2011年に再度多摩バスを吸収合併というかたちで西東京バス持ちとして復活するまでは、系列とはいえ他社に任せていたわけで、一時期撤退していることになる。いずれも京王グループとして京王(帝都)電鉄を親会社としている。

    また、京王バスは実は、京王(帝都)電鉄の直営がまずあるほか、そこから分社化された京王バス南、京王バス東の二社の、計三社があり、高速バス部門も受け持ちの変遷を経て、なかなか複雑な状況になっており、外野からの把握は実はややこしい。

    これに類似する例は、全国的に枚挙にいとまがなく、バス会社の分社化が増えた昨今、共同運行会社は外ヅラ以上に実はコロコロ変わっている例が増えている。

    記事を見ると、業界通は別にして、たとえば京王バスはまるで一社で運行してきたと勘違いされかねない可能性もあるし、西東京バスも多摩バスに任せて撤退していた時代がそれなりにあるので、勘違いされかねないので、あえて指摘させて頂いた。

    なお、たとえば多摩バスが吸収され、元通りに西東京バスに復するにあたっては、大多数の旧多摩バス社員が継続的に西東京バス社員として勤務を続けてはいる。各地の類例も、逸れに準じてはいると思う。

    記者は、バス関連の記事を書かれるなら、業界のそうした度重なる再編による変化にもう少し留意して、誤解を招かないよう配慮が望まれる。

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