ヒトラーも激怒したレンドリース法が復活 どれ程の意味を持つ? 米のウクライナ支援で

アメリカにおいて、レンドリース法が復活する見込みです。WW2期に連合国を大いに支援した法で、当然、争いごとの一方の当事者へ相当の肩入れをすることになり、事態の推移において大きな転換点となりうるものです。

気になる戦後の返済とこれが意味するもの

 しかし、レンドリース法はあくまでも「武器を含むさまざまな物資を貸与する」ものであり、当然、戦争が終了すればその返済義務が持ち上がってくることになります。ウクライナの場合、これがどのような形で実現するのかは、今後のアメリカと結ばれることになるであろう返済協定の内容次第になると考えられます。

 第2次世界大戦におけるレンドリース法をめぐっては、すでに消費した物資の費用については支払いが免除されたものの、未消費物資などに関してはアメリカからそれぞれの国へと売却されることになりました。たとえばイギリスは、1951(昭和26)年から50年間の分割払いによって債務を返済することでアメリカと合意し、幾度かの返済延長を経て2006(平成18)年に全額返済を完了しました。

 また、イギリスは戦時中に、兵器や補給品などをアメリカへと逆に供与する「逆レンドリース」を行っており、これにより返済額の一部を相殺することで、その減額に成功しています。このように、ウクライナも何らかの形で返済額の一部を相殺することも可能でしょう。

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アメリカ空軍の輸送機に搭載された、ウクライナ向けの弾薬、爆発物など(画像:アメリカ空軍)。

 アメリカの第2次世界大戦参戦前に成立した前回の武器貸与法は、当時その矛先が向けられていたドイツにとっても当初から無視できない存在となっていました。1941年(昭和16年)12月11日に行われた対米宣戦布告において、ヒトラーは武器貸与法について触れつつ、アメリカが「武器貸与法によって援助する諸国の支配権を持とうとした」とまで明言しています。

 武器貸与法の復活は単にウクライナへの迅速な支援が可能になるというだけではなく、アメリカによる支援の本気度がこれ以上なく高まるということを意味しています。そして、過去の事例が示しているように、これはロシアのプーチン大統領にとっても決して心穏やかなものとはいえないでしょう。

【了】

米→英→ソと渡り歩いた駆逐艦「カウエル」

Writer:

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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