リニア中央新幹線の「水問題」JR東海が「方策」検討へ 大井川の水量確保に「2つの案」

大井川の水を損失させない「2つの方法」が検討されていきます。

直接・間接的な「水戻し」

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リニア中央新幹線南アルプストンネルの工事現場(2021年5月12日、恵 知仁撮影)。

 JR東海は2022年4月26日(火)、中央新幹線の建設に伴い懸念事項となっている静岡工区での大井川の水資源への影響について、「方策」の方向性を明らかにしました。

 この問題は、静岡工区で進められている「南アルプストンネル」の掘削などの影響で、現場で発生した湧水が本来の自然環境と反して別の水系に流出してしまうことから、大井川の水量が減少し、各種用水の使用に支障をきたすとして、静岡県が懸念を表明しているものです。

 今回JR東海は、その「トンネル湧水」を、本来のとおり大井川へ戻すために取る方策について、ある程度の形がまとまってきたことから、公表に至りました。

 取るべき方策は2案。まず「A案」は単純に、山梨県側で湧出した水をポンプでくみ上げ、大井川へ流していくもの。次に「B案」は、山梨県側に流失してしまう水と同じ分だけ、近くにある東京電力の発電用ダム湖などから大井川へ還元するというものです。

「A案」では先進坑(準備のため先に掘られるトンネル)が貫通するまでに不可抗力で山梨県側に流失してしまう分を0.03~0.05億m3と想定。その分を、先進坑貫通後に、山梨県側の水でもって「埋め合わせ」する形です。

「B案」では、東京電力の田代ダムが、山梨県側の田代川第二発電所へ発電用水を流して発電していることに着目。これは大井川の水を別の水系へ流しているということですので、この発電用水の量を減らせば、その分だけ大井川の水は増えるということになります。トンネル工事で流失する分と同じ量だけ発電用水を減らせば、工事による影響はプラスマイナスゼロ、というわけです。

 この2案とあわせて、「そもそも県外への流出をできる限り減らす」方策も検討されます。地山にボーリングを行って積極的に湧水させ、その水をポンプで汲み出すというものです。

 今後JR東海は、この案をもとに「検討を深め、関係者と協議をしていく」としています。また、きょう26日に開かれる静岡県の環境保全連絡会議の専門部会でも、この案をもって説明が行われる予定です。 

【了】

【JR東海が「大井川の水戻します」2つの方法とは】

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