飛行機じゃ無理! 自衛艦の「現金輸送大作戦」 かくて沖縄はドルから円に変わった
初代「おおすみ」と「しれとこ」はアメリカ生まれ
ただ、今度は現金の運搬手段が問題になりました。当初は飛行機で運ぼうとしたのですが、総重量315tは3tコンテナ161個ぶんに上り、飛行機では無理です。そこで海路にて運搬することになったものの、民間の貨物船で運んだ場合、もし仮に強奪されれば大問題です。また、当時は米軍基地問題や安保闘争、沖縄返還の反対運動などが非常に活発な時世だったため、いわゆる過激派の襲撃も想定する必要がありました。
そこで白羽の矢が立ったのが自衛隊でした。自衛隊の艦船であればそもそも武装していますし、乗員が小銃や機関銃を携行することも可能です。隊員の身分もしっかりしているので問題ありません。こうして海上自衛隊の輸送艦が用いられることになったのです。
当時、海上自衛隊にはアメリカから供与された3隻が輸送艦として運用されており、それぞれLST4001「おおすみ」、同4002「しもきた」、同4003「しれとこ」と、艦番号および名称が付けられていました。
これらは第2次世界大戦中に建造されたLST(Landing Ship Tank:戦車揚陸艦)で、基準排水量は1650トン、満載排水量は4080トン、最大速力11ノット(約20.37km/h)という性能でした。また武装は、1番艦「おおすみ」が40mm単装機銃2基、「しもきた」と「しれとこ」が同連装機銃2基を装備していました。
この3隻のうち「おおすみ」と「しれとこ」が輸送任務を担当することとなり、警察庁やアメリカ軍の協力の下、4月下旬に「現金輸送作戦」は実施されることになります。
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