「成田のレガシー」唯一無二の消防車が航空科学博物館へ 公道走るためサイズ規定内

公道走行を考慮し、車体サイズはあえて規定内に

 まさしく普段、街中で見かける一般的な消防車とは明らかに異なる元成田市消防本部の空港用化学消防車ですが、成田国際空港株式会社(NAA)を始め、各地の航空局などに配備されている「空港構内」専用の消防車とは異なる、自治体消防が運用するからこそのポイントもありました。

 たとえば車体サイズは、全長11.63m、全幅2.495m、全高3.5mです。このサイズは道路法の車両制限令に適合する大きさに収まっています。車両制限令では、長さ12.0m、幅2.5m、高さ3.8m、この値をわずかでも超える車両が公道を走る場合、事前に道路管理者へ申請することが必要とされています。

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成田空港の近傍にある航空科学博物館(2022年5月15日、柘植優介撮影)。

 空港に配備されている化学消防車の場合、構内専用のため、より大きなボディであっても運用に問題はありません。しかし、自治体消防の場合、公道での移動が前提です。ゆえに前出の車両制限令の制限数値以内に収めることが求められたのです。

 ちなみに、成田空港を始めとして空港消防に配備されている化学消防車の中にも、空港の敷地外で起きた航空機事故に出動・対処できるよう、車両制限令の規定サイズに収めた消防車が一部配備されています。

 このように成田市消防本部で約18年にわたり、成田空港およびその周辺地域の安全を守るべく活動してきた空港用化学消防車ですが、その間、航空機にエンジントラブルなどが発生し、緊急着陸に至った際などに、万一に備えるための「警戒出動」に262回、火災には市内の一般的な火事含め13回出動したといいます。

 この13回のなかには、2009(平成21)年3月23日に成田空港で起きたフェデラルエクスプレスMD11F型転覆炎上事故も含まれるとのこと。このときは、成田市消防本部や、成田空港消防、近隣の消防本部からの応援などで合計48台の消防車が出動し対応にあたったそうですが、そのとき成田市消防本部の車両群における活動の中心的存在になったとのことでした。

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