次期戦闘機「日英共同開発」に方針転換か アメリカ塩対応のワケ 日本側に必要な“覚悟”
未知数な「日英」
イギリスは2030年代の就役を目指して、新戦闘機「テンペスト」の開発計画を進めており、次期戦闘機の開発時期とも合致するため、部品などの共通化による開発・製造コストの低減と、開発に伴うリスクの低減は期待できます。
イギリスは2018年7月の発表時点から、テンペストは自国主導で開発すると明言していますが、その一方で外国との協力にあたっては、必ずしもテンペストそのものへの相乗りは求めていません。「我が国主導」という開発方針を堅持している日本にとって、イギリスが組みやすい相手であることは間違いなく、それ故、前に述べたエンジンと次世代レーダーの共同実証事業が、すんなり決まったとも言えます。
ただ、日本は過去にもF-2やSM-3ブロックIIAミサイルをアメリカと共同で開発していますが、アメリカ以外の国と防衛装備品を共同開発した経験はありません。F-2にはF-16というベースとなる戦闘機が存在し、SM-3ブロックIIAはアメリカ側がコンセプトを明確に定めていました。しかし次期戦闘機には他国に依存できるベースとなる装備品やコンセプトはなく、より主体的な姿勢で共同研究開発に参画しなければなりません。
また、日本とイギリスには、高いステルス性能を備えた実用戦闘機を開発した経験もありません。産経新聞などはロッキード・マーティンも一部の技術について協力する可能性があると報じていますが、ステルスなどの主要技術の開発に伴う負担は、アメリカ政府とロッキード・マーティンの支援を受けた場合よりも大きくなります。
イギリスとの次期戦闘機の共同研究開発は、主にアメリカから支援を受けて開発する従来の方向性に比べて、日本の独自性を確保できる可能性が高くなります。その一方で、アメリカとの共同開発に比べて負担が大きくなる部分もあり、また「我が国主導」という方針を堅持するためには、それを実現するための高い交渉能力が求められることも確かです。日本は、その覚悟を決めて臨む必要があります。
【了】
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
新技術の開発に関わらないだけで、F-35に採用されてる既存技術の一部の提供は有るんじゃ無いかな?
アメリカが新型のスケジュール明かさないのもそれが関係してる気がする。
日英が共同開発した機体をベースに新型を開発する事で1から開発するより開発コストを圧縮する狙いがあるのでは?