ウクライナ「空飛ぶ砲兵隊」に「SUV砲兵隊」も!? 西側供与のM777榴弾砲 使い勝手抜群なワケ

NATO加盟国がウクライナへ大量に供与しているM777榴弾砲、その使い方が見えてきました。空を飛んで運ぶことよりも、陸上輸送時の使い勝手の抜群さが「目玉」だとか。持ち前の「軽さ」が戦い方を変えています。

軽さこそ強さ! M777榴弾砲の使い方

 ロシアによるウクライナ侵攻が長期化するなか、アメリカを始めとしたNATO(北大西洋条約機構)加盟国から供与された口径155mmクラスの自走砲や牽引砲がウクライナ軍で次々に実戦投入されています。

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ウクライナ軍のM777榴弾砲(画像:ウクライナ軍参謀本部)、

 ウクライナ側に引き渡された口径155mmクラスの自走砲や牽引砲のなかで最も数が多いのが、軽量155mm榴弾砲M777です。この火砲はアメリカ、オーストラリア、カナダの3国が供与していますが、その数は合計100門以上といわれています。

 そもそもM777は、イギリスが開発した牽引式155mm榴弾砲で、特徴は極めて軽量な点です。アメリカ軍には従来、M198と呼ばれる牽引式155mm榴弾砲もあったものの、この砲の重量が約7tなのに対して、M777は60%ほどの約4tしかありません。

 しかも、操作するための砲員もM198が11名なのに対して、M777は5名ですみます。これもまた軽量であるがゆえのひとつの長所です。

「砲そのものが軽い」。これは、どのような火砲にとっても長所です。自走砲のように車載式の場合であれば車両の重量軽減になりますし、牽引砲の場合は、移動だけでなく射撃陣地への展開と撤収に際して、少人数で実施可能、または同じ人数なら短時間で行えます。

 この展開と撤収が迅速に行えるというのは、今日では大きなメリットです。現代戦では、敵砲の射撃位置を知るための対砲レーダーや戦場監視機、ドローン(無人機)などの高性能化により、砲撃を行ったらすぐさま陣地を変えなければ反撃を食らって、撃った側はほぼ確実に痛い目に会うからです。そのため、砲撃直後の迅速な移動は、自らの安全確保のために必須となっています。

 だからこそ、自走して最適な位置に布陣し、砲撃したらすぐに撤収できる自走砲は有利であり、牽引砲も軽ければ軽いほど動かしやすくなるため、やはり大きなメリットを有することになるのです。

【写真】さっさと展開 さっさと撤収! M777の使い方 画像で見る

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