ウクライナ「空飛ぶ砲兵隊」に「SUV砲兵隊」も!? 西側供与のM777榴弾砲 使い勝手抜群なワケ

誰でも使える 誰でも引っ張れる!?

 ヘリコプター同様に、重量砲の牽引に適した専用の軍用車両を潤沢に保有しているとはいえないウクライナ軍にとって、数少ない重車両の代わりに西側から容易に輸入できる4輪駆動の民間オフロード・カーでの牽引が可能であり、しかもそのような民間車を牽引車だけでなく弾薬運搬車にまで使うことができれば、そのメリットは計り知れません。

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ウクライナ軍によるM777榴弾砲の訓練の様子(画像:ウクライナ軍参謀本部)。

 さらにもうひとつが、砲の操作に加えて車体の運用や整備の技術も学ばなければ実戦では使えない自走砲に比べて、M777は牽引式なので砲の操作のみ習得すれば運用できる点です。つまり、これまでウクライナ軍が装備してきた旧ソ連式の152mm榴弾砲の操砲技術を持つ砲兵なら、比較的容易にM777へと装備改変ができるということです。

 このような理由から、ウクライナ軍は得意の鹵獲戦車も含めた機甲兵力に随伴する155mm榴弾砲としては自走砲のPzH2000やM109を使用し、その後方で軽快な機動を行える火砲として、M777を使用していると考えられます。そしてその成果の一端が、ロシア軍の大隊戦術群(BTG)をいくつも渡河地点で粉砕するといった戦果に表れているのかもしれません。

【了】

【写真】さっさと展開 さっさと撤収! M777の使い方 画像で見る

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Writer: 白石 光(戦史研究家)

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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