海自も導入か 水上戦術をガラリと変える艦艇用レーダー「SPY-6」…何ができるの?

「兵器における高度情報化」の波が陸海空問わずあらゆるものに及ぶなか、艦艇用のレーダーがまたひとつ進化のステップを上がろうとしています。水上戦術が一変するかもしれない「SPY-6」、どういったものなのでしょうか。

進化するSPY-6 注目の新機能とは

 このSPY-6は、ソフトウェアの改修によって新たな機能追加や能力向上を図ることができるのも、大きな特長のひとつです。それをまさに体現する形で、現在開発が行われているのが「ADR」こと「分散型先進レーダー」機能です。レイセオンの担当者によると、ADRとは「複数の艦艇によるレーダーの協調運用を可能にする、ソフトウェアの拡張機能」とのことで、SPY-6を搭載する艦艇同士での連携プレーを可能にするものと考えられます。

 現在のところ、このADRによって提供される具体的な能力は明らかにされていませんが、それを探る手掛かりとなるのが、「受信専用協調レーダー(ROCR)」と「ネットワーク化協力レーダー(NCR)」です。

 ROCRは、ADRに含まれる機能のひとつで、従来のレーダーのように自らが発した電波の反射波を受信して目標の位置などを把握するのではなく、別の艦艇が搭載するSPY-6から発信された電波の反射波を受信することによって目標の位置を把握するというものです。

 これにはさまざまな利点があり、たとえば自らが電波を発信しないため、敵から自艦の位置を捕捉される可能性を極小化できるほか、通常では捕捉が難しいようなステルス性の高い目標を探知できるという可能性も考えられます。

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SPY-6レーダーは米マサチューセッツ州アンドーバーにあるレイセオンのレーダー開発施設にて製造されている(画像:レイセオン ミサイル&ディフェンス)。

 もうひとつのNCRは、ADRの前身的位置づけの機能で、別々の艦艇に搭載されているSPY-6同士がリアルタイムで情報を共有することにより、それらが捉えた情報を統合してひとつの大きな状況図を作成することができるというものです。

 たとえば、自艦のレーダーでは島影に入ってしまって見えない海域があったとしても、そこを見ることができる位置にいる別の艦艇のレーダー情報が共有されることで見えるようになる、というものです。これにより自艦から直接見えていない海域のものも含めて、広大な範囲の状況を把握することができるというわけです。

 つまり、ADRはNCRで実現を目指す複数のSPY-6を連携して運用する能力をベースに、さらにROCRによる受信専用モードでの運用も交えることによって、より広範囲に、かつより探知されにくい形で艦隊に迫る脅威を探知し、これに対処することを目指していると考えられるのです。

【写真】喫水線の下も見える進水直前の「ジャック・H・ルーカス」

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