今更なぜ“車両モックアップ”製作? 登場6年の西武40000系 背景に所沢車両工場の記憶
西武鉄道が武蔵丘車両検修場で開催した「西武・電車フェスタ2022 in 武蔵丘車両検修場」の会場に、40000系電車のモックアップが展示されていました。メーカーで製造された車両なのに、なぜいまモックアップを製作したのでしょうか。
車両製造技術を未来につないでいくため
西武鉄道は2022年6月4日(土)に武蔵丘車両検修場(埼玉県日高市)で、一般のファンへ構内を解放する「西武・電車フェスタ2022 in 武蔵丘車両検修場」を開催しました。
イベント会場では車両展示やトラバーサー乗車体験、車両入換実演など多彩な内容でしたが、そのなかには昨年開催されたイベントにはなかった、40000系電車のモックアップ展示がありました。
40000系は2016(平成28)年に登場した通勤用車両で、車両製造メーカーの川崎重工業(現・川崎車両)が製造したものです。モックアップは通常、車両の設計やデザインを決めるうえで試作されますが、それがなぜ車両が完成した後に西武鉄道でモックアップを製作したのでしょうか。
これは、西武鉄道が1999(平成11)年まで自社で車両の製造を行っていたことに関係しています。かつて所沢駅の南西側には「西武所沢車両工場」があり、そこで101系電車や2000系電車、9000系電車などを製造していました。
西武所沢車両工場の閉鎖により車両の製造は終了しましたが、西武鉄道では車両製造技術を未来につないでいくためモックアップを製作しているとのこと。経験のあるベテラン社員が若手社員を対象に指導し、技術力の維持と向上に努めているそうです。
展示された40000系のモックアップは製作中のもので実物大ではありません。それでも40000系独特の先頭形状は的確に再現されています。モックアップは今後も製作が進められ、完成した暁には再び「西武・電車フェスタ」で披露されることでしょう。
【了】
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