なぜ四角い車が“レトロでかわいい”? 一定数いるカクカク車好き 売れ筋みんな四角いのに

カクカクした形のクルマがかわいい――特にSUVやミニバンで、そのような声が聞かれます。しかし、日本の売れ筋を見れば四角いクルマばかり。四角いクルマ=ちょっとレトロに見える、これには理由があります。

商用車っぽさは「可愛さ」か

 また、クルマのデザイン的に考えると四角いクルマは「レトロ」な存在になります。

 歴史を振り返れば、クルマは「馬のいない馬車」に始まり、徐々に走行スピードを高めていきました。馬車の時代の車体は、まさに箱のような形です。その後、徐々に現在のクルマの形に近づいていきます。当然、技術が未熟なころは、平面で箱型のボディを作る方が簡単なので、大ヒットしたT型フォードのボディも箱型です。走行スピードが遅いころは、シンプルな四角いクルマでも問題がありません。

 しかし、速度が上がるにつれ、空気抵抗が問題になります。それを減らすため流線形のボディが採用されました。最初にブームになったのは1930年代。第二次世界大戦後は、アメリカ発の“テールフィン”が大流行し、その後は、よりモダンなデザインへと移行。ボディを平面で構成する四角いクルマは徐々に少数派となっていきました。

 気が付けば、ボディを平面で構成される四角いデザインのクルマは「レトロ感」を抱かせるようになりました。古いデザインを踏襲してきたジープの「ラングラー」や、メルセデス・ベンツの「Gクラス」などは、平面を多用するレトロなデザインが、人気の大きな理由となっていると言えるでしょう。

 また、欧州メーカーの多くは、乗用車と商用車を明確に分けています。日本で人気のルノー「カングー」や、プジョー「リフター」/シトロエン「ベルランゴ」は、室内空間最大を目指した四角いデザインが特徴ですが、欧州では商用車という扱いです。商用車ではあるものの、四角さのどこかにレトロ感、可愛さみたいなものを感じる人が少なくないからこそ、日本では乗用車として受け入れられているのでしょう。

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トヨタ・ルーミー(左)やホンダ・N-BOXのようなコンパクトの人気車種も四角い(各社ウェブサイトより)。

 日本で四角いクルマが人気の理由は、ひとつに「遠出しない、日常の足としてクルマを使う人が多いから」というもののはず。もうひとつは、「レトロなデザインを好きな人が一定数いるから」ではないでしょうか。商用車っぽさは、可愛さとして捉えられているのかもしれません。

【了】

【意外とあるぞ】ちょっとレトロな四角いSUV 画像で見る

Writer:

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体にて新車レポートやエンジニア・インタビューなどを広く執筆。中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。1966年生まれ。著書「自動車ビジネス」(クロスメディア・パブリッシング)

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