中国軍機が豪加哨戒機に「危険な威嚇」 そうするに至る彼らなりの「理屈」はどこに?
オーストラリアおよびカナダの哨戒機が、続けざまに中国軍機から危険な威嚇を受けました。領空侵犯もしていないのに、フレアやチャフまで撒かれたといいます。中国はなぜそこまでするのか、彼らなりの「理屈」を探ります。
豪加の哨戒機が中国軍機による妨害行為に遭遇
オーストラリア国防省は2022年6月5日、南シナ海の国際空域で自国軍機が中国軍の戦闘機によるインターセプトを受けたと報道発表しました。
それによると、事件が発生したのは前月の5月26日のことで、オーストラリア空軍のP-8哨戒機が中国軍のJ-16戦闘機による接近(インターセプト)を受け、その際に「P-8の機体および搭乗員の安全を脅かす危険な行為」があったとされています。
報道発表では「危険な行為」の具体的な内容について触れられていませんが、後にオーストラリアのマールズ国防大臣が明らかにしたところでは、中国軍のJ-16がP-8に急接近し、通常は敵のミサイルを妨害するために用いられる「フレア(赤外線誘導のミサイルを妨害するための熱源を射出するもの)」および「チャフ(小さな金属片を撒いてミサイルのレーダーを妨害するもの)」を射出、そののち急加速してP-8の機首部をかすめるように飛行したとのことです。
中国軍機による危険なインターセプトを受けたのは、オーストラリア機だけではありません。同じく6月1日カナダ国防省は、東シナ海の国際空域で活動中だったカナダ空軍のCP-140哨戒機が、中国空軍の戦闘機による危険なインターセプトを複数回にわたり受けていたことを公表しました。中には、接近してきた中国軍機との衝突を避けるためにCP-140が回避行動をとることを余儀なくされた事例もあったとのことで、現場の緊張感がうかがい知れます。
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